今津・廣野の失墜で
息を吹き返すか菅原、上草
今津氏派の選挙違反問題がこれほどまでに拡大して、思わぬ漁夫の利≠得たとされるのが菅原功一旭川市長と上草義輝元衆院議員の二人。政治資金疑惑がまだ尾を引いている菅原市長にとっては「市民の矛先が変わってきた」し、上草氏にとっては「衆院6区からの出番が回ってきそう」という見通しも……
“運”の強い?菅原市長
菅原市長にはまだ、市長が東京の佐々木忠氏(ダイヤモンド観光社長)に書いたとされる念書疑惑に対抗するため、記事を掲載した財界さっぽろを訴えている一件が残っており、さらに市議会でも市長問題などを審議する政治倫理調査特別委員会が設置されていて、一連の政治資金疑惑に関して完全なピオドが打たれたわけではない。
先の衆院選挙でも市民の反応を考えて、佐々木、今津の両選対とも菅原市長に表舞台に出てもらうことを手控え、個人演説会で一回ずつ登場してもらっただけだった。まだまだ、市民の間に市長アレルギーが残っていると考えたからだ。
そんなときに、降ってわいたような今津氏派の選挙違反事件。それは、年初から数ヵ月にわたって市長に向けられていた市民の矛先が、急旋回して今津氏に向けられるようになった、青天の霹靂とも言える出来事だった。
旭川市民に限らず、人間の関心は常に新しいものに向けられるもの。市長の政治資金規正法違反問題と今津氏派の公職選挙法違反問題と、どちらが重罪に値するかの議論はともかくとして、今回の選挙違反が市民の関心をさらうようになってからというもの、菅原市長問題は一気に霞んでしまった感じがする。
「菅原市長の運の強さには恐れ入った。過去には今津氏が運の強い男と言われたが、最近の市長を見ていると、今津氏の“運”が乗り移ったとしか言いようがない」と話す経済人もいるが、同様の感想をもつ市民も多いはずだ。
また、菅原市長にとっては“政敵”とも言える存在だった今津氏が大きく後退、その上、市長就任以来ずっと重しのようにのしかかっていた、旭川政経界のボス・廣野氏の失墜で、名実ともに旭川市の最高権力者となる条件が整ってきたという見方もできる。
こうしたことから今津氏派の選挙違反問題は、市長派が仕組んだ筋書き通りに動いているといった穏やかならぬ風評も出はじめている。もちろん、まったくの憶測にすぎない話だとしても、これほどまでに菅原市長に有利な状況が生まれてくる展開となっては、風評の打ち消しには手間がかかりそうだ。
即戦力の上草氏に可能性
今津氏の政治家戦線からの後退で、消えかかった灯に再び明るさを取り戻したのが上草義輝元代議士ではないだろうか。
国政復帰のチャンスを伺っていた上草氏は、六月の衆院選で「自民党第6選挙区支部が来年夏の参院選候補として自分を推薦する」ことを条件に、6区で今津氏、7区で金田氏の選挙を応援した。
かつて五期連続当選を飾り、ミスター自民党を自認していた上草氏にとって、後から出てきた二人の太刀持ち役を務めることには抵抗もあっただろう。しかし政治生命をつなぎ止めるためには、やむを得ない選択でもあった。
選挙中、今津氏の応援に来た自民党道連の鈴木宗男会長が「上草さんの処遇には全力を尽くす」と力強く宣言したこともあって、最後まで6区、7区の選挙区を走り回り、自民党候補の必勝を祈った。
しかし選挙後の七月に開かれた自民党道連の参院選候補者選考委員会では、札幌市選出の伊達忠一道議が参院候補となることが決まり、八月七日の役員会で正式決定してしまった。上草氏はまたもや行き場を失ってしまったわけだ。
そんな状況の中で、自民党第6区選挙区支部長を務める今津氏の進退が問われ始めたことにより、俄然、上草氏の展望が開けてきた。今津氏に代わる自民党候補が他にいないわけでもないが、常識的に最短距離にいるのは上草氏だろう。
今津氏の次回挑戦があるのかどうかは未知数だが、大きな後ろ盾である廣野氏の失墜、選挙違反の対応の不十分さから“今津離れ”が進んでいる現状を考えると、即戦力のある上草氏が次の衆院選候補として浮かび上がる可能性は十分あると見なければならない。