「組織私物化」と内部から批判
軽運送青空(旧青帽)石橋博理事長夫婦

 軽運送業道内最大手が『赤帽』。これに次ぐのが青空(旧青帽)で、本部は旭川市1条11丁目にあるが、「組織を私物化している」と代表の石橋博氏(75)を糾弾する声が内部から噴出している。7月末に開かれた組合の総会では石橋理事長に代わって新理事長が選出されるという場面 もあったが、石橋氏は「総会自体が無効」と、押し切った。

 

「石橋代表はサギ師」札幌では訴訟も

 不況が長く続いている。若い人でも就職先を見つけるのは困難で、中高年となれば状況は絶望的だ。求人誌を買いあさって隅々まで目を通し、ハローワークに足繁く通っても、良い就職先は見つからない。「元手があまりかからずに、独立開業できる仕事はないものか……」―必然的に、そんな思いを大半の人が抱くことになる。

 札幌市内に住むAさんも三年前、なかなか仕事が見つからず、独立開業の考えも頭の隅に置きながら、新聞の求人欄に目を通していた。そこで見つけたのが軽貨物業青空の募集。さっそく札幌事務所に足を運ぶと、「月三十五万円から四十万円の収入になる。仕事はいくらでもある」と説明され、一も二もなく会員となった。

 「仕事をするには青空のクルマが必要だと言われ、二百万円を超える軽トラックも買った。仕事はいくらでもあるというし、安定した収入になるのだから、ローンで払っていけばいいと考えた。

 しかし、入会してみるとぜんぜん仕事がこない。たまにあってもキツイ仕事。これでは続けていけないと半年で脱会した。

 不要になったクルマは売り払ったが二束三文。うまい話に乗ってコツコツ蓄えた金をドブに捨てる結果になってしまった。青空の石橋博代表はサギ師だ」(Aさん)

 実はAさん同様「青空に騙された」と被害を訴えている人は多く、青空と石橋理事長に車輌代と入会金の返還を求める訴訟も二件起きている。Aさんも訴訟を起こし車輌代だけは取り返したいとも考えたが、「石橋に関わっていても一文にもならない」と断念した。

 

株式会社と協組二つを使い分け!

 旧青帽、現在の青空は旭川市一条十一丁目に本部がある。

 本部事務所の看板には『青空北海道 株式会社 協同組合』と横書きされている。

 組織が少々、ややこやしいのだが『青空北海道』という同じ名前の株式会社と協同組合があり、同居しているのである。

 Aさんもそうだったが、青空に入会した人は組合に入り組合から仕事をもらっていると考えている人が多い。組合への入会金を払うのだから当然だが、実は仕事は青空(株)から回ってくるシステムになっている。

 石橋氏自身「組合は親睦を目的に平成三年につくった」とこともなげに話している。「月会費一人二千円、一年で二万四千円ですよ。これでは事務所も持てない。うち(青空(株))が一角を提供してやっているくらいです」(石橋氏)ともいう。

 ただし、入会金五万円、会費二千円となったのは五年前から。それまでは一会員一括三十二万五千円という高額だった。

 関係者に話を聞くと、組合は何の機能も果たしていない。親睦の集まりがあるわけでなく、総会さえほとんど開かれたことがないという。

 何ら活動をしていないのなら、いらぬ混乱を避けるためにも、組合を解散し、株式会社一本で営業すればいいのではないか―普通はそう考える。しかし、それが石橋氏の手法なのだと、青空内部で石橋氏に批判的な人物は「二つの組織を使い分け私腹を肥やし、協同組合を私物化している」と手厳しく批判するのである。

 石橋氏は、昨年四月に発足した北海道貨物軽自動車運送事業連合協議会の初代会長も務める。赤帽、青空、心陽、札幌軽貨物の四業者が加盟し、業界の地位向上、組合員の福利厚生などが目的である。「協同組合を私物化し私服を肥やしている」との批判が事実なら、許されることではない。

 

クルマ販売で暴利有名無実の組合

 実際、どのような私物化が行われているのか、関係者の話―

 「以前は入会に三十二万五千円必要だった。年間、三十人から四十人の新規入会があるから、一千万円を超える収入。十年で一億円という巨額だ。この金がどのように使われているのか、極めて不明朗だ。

 訴訟というトラブルがあって今は、月会費二千円、登録費五万円、出資金一口三万円。それらも石橋代表と、妻で株式会社の専務を務める石橋章子の二人の飲み食いに使われている。

 軽トラックを会員に売るのは(有)北海道車輌販売共済会。社長は同じく石橋博。せいぜい百二十万円くらいのクルマを二百万円で売りつけ、暴利を得ている。

 荷主との契約はすべて会社で行い、仕事を会員に委託し、仲介料として古い会員からは一〇%、新しい会員からは一五%を徴収する。会員には直接、営業はさせない。

 異論を唱える者、また古い会員は何やかやと理由をつけて辞めさせる。会員の出入りがあったほうが、儲かるからだ。

 有名無実の組合組織は、対外的なことを考え、また新規会員を募集しやすくする方便。

 つまりはすべて、石橋夫婦が儲かるようにつくられたシステムだ」(青空の会員)

 

「辞めさせた二男の乗っ取り工作だ」

 「会員の多くが、石橋のあくどいやり方に不満を持っている。しかし、仕事を仲介してもらうという弱い立場で、個々に抑えられてしまう」のだとも言う。

 組合を民主的に運営にしようと考えた幾人かの会員が、今年七月二十八日に開かれた組合の総会で、役員改選の緊急提案を出し、石橋理事長を解任し、新しい理事長を選出した。クーデターは成功したかに見えたが、この後、石橋氏が「総会は定足数に満たないもので無効だ」と反撃。九月三日に改めて開いた総会で続投が決まっている。

 こうした内部からの糾弾の声を、石橋氏自体はどう受け取っているのか。直接、本人に聞いてみた。

 「私には息子が二人いるんです。上は役所勤めでしっかりしているのですが、二男がどうしようもないやつで……。後を継がせようと会社で働かせていましたが、問題があって辞めさせました。

 その二男が一部の会員をたきつけて、私を悪者にし、組織の乗っ取りを図っているんです」と前置きし、青空のシステムなどを次のように説明した。

 

「中傷は遺憾身を引きたい」

 「組合は親睦のために平成三年につくった。会員は現在旭川と札幌合わせて六十人余り。

 第一種利用貨物運送業の許可を受けている青空(株)が仕事を取ってきて、斡旋している。

 組合に加盟していなくてもいいのですよ。組合に加盟していれば斡旋料は一〇%、加盟していなければ一三%。組合加盟のメリットはそこにあるんじゃないですか。

 組織を乗っ取ろうとしている者が、入ってきた金を不正に使っていると非難しているようだが、まったくそんなことはない。組合のものは組合へ、斡旋料などは株式会社へと正しく会計処理している。不正行為などまったくない。

 クルマは、ディーラーから購入。箱と組み立てに約四十万円、札幌から旭川まで運ぶのに十万円、青空のマークなどで七万円位かかる。何だかんだで会員さんへの売り値は百九十八万円になる。もちろん、利益はきちんと(有)北海道車輌販売共済会に入れ、記帳しています。決算書を見てください、受託手数料として載っているでしょう。

 (有)車輌販売はそんなに儲かっていませんよ。まあ、青空(株)は利益を出していて私も高額な給料をもらっていますがね。

 身に覚えのない非難、中傷されて私もいやになっている。七十五歳になるし、身を引こうと七月に開いた組合の総会で辞任するつもりだった。ところが二十二人しか出席者がなく、総会が成立しなかった。後を継いでやってくれる人がいるならすぐに辞めますよ。だけどいない。九月三日にもう一度組合の総会を開きますが、後継が決まらなければ組合を活動停止にします。そうできるように、定款に明記されているのです」

 話の中で、「七月の総会で自ら辞任を申し出た」とあるが、これは前出の関係者が言う「解任、役員を改選した」というのと、百八十度違う。どちらが、正しいのか。出席した某会員によると、後者、解任、役員改選が事実とのことだった。

 また「九月三日の総会で辞任する、後継がいなければ解散する」と石橋氏は話していたが、地場産業振興センターで行われた総会では石橋氏の続投が決まっている。

 ところで、誹謗中傷、乗っ取りの首謀者と名指しされているのは石橋氏の二男の石橋博之氏だ。七月に解雇され、八月三日付けの北海道新聞紙面上で、解雇公告も掲載されてしまった。

 その博之氏本人は、

 「これまで何度も、会社と組合の運営で対立してきました。斡旋料の率をもっと低くしてもやっていけるし、クルマはあまりにも高すぎるというのが私の主張です。会社ではなく、組合が仕事を受けて会員に斡旋するのが正常だとも思っています。

 父と母はまったく悪いことをしているという意識はありません。しかし、裁判沙汰になったように、多くの人が泣いています。“システムに不満があるなら辞めていけ”というわけにはいきません。大きくはありませんが、青空もそれなりの規模に成長しており、社会的責任もあります。

 私のような考えを持っている会員さんも少なくありません。会社は解雇されましたが、民主的な運営に変えることができるよう、頑張ってみたいと思っています」

 形としては親子の対立、骨肉の争いのようになってきたが、赤帽に次ぐ軽運送業の青空の内部の混乱はまだ続きそうな情勢だ。

 赤帽が業界で言うスポット、単発の仕事が多いのに対し、青空はチャーターが主。不況下だが一定の仕事量はある。民主的なトップの下ならやっていける組織だ。早期の健全化を望んでいる。