「旭川市は私たちを人間と思っていない」
ゴミ処理場建設“凍結”求め
江丹別住民が怒りの署名活動

 地元住民が一貫して反対の意思を示しているはずの江丹別 芳野地区のゴミ処分場(一般廃棄物最終処分場)建設計画が、着々と進んでいる。二十八年前から使っている現在の中園ゴミ処分場が、ここ一、二年で飽和状態になるという差し迫った事情は分かるが、地元の合意なしに一方的に進められる計画は、権力の横暴と言えるものでもある。

 

同意書は白紙に戻すべき

 旭川市が江丹別芳野地区を次期ゴミ処分場の候補地に選んだのが九二年。そもそもなぜ、芳野地区が選ばれたのかの説明はいまだに不十分だが、要は江丹別の共和地区、中園地区と続いてきた“ゴミ捨て場”の経緯を踏まえ、それらの地区に近い芳野地区ならおそらく反対も少ないだろうという甘い読みがあったと想像できる。

 市はこれまで、江丹別の帝王(だった)久保恒雄氏(神居農協組合長)を巧みに利用してきた。たび重なる久保氏からの不当な要求に応じる代わりに、ゴミ処分場の存在を迷惑に思う地元住民の反発を押さえ込む役割を久保氏に期待していたのだ。

 八年前に、江丹別芳野地区を“ゴミ捨て場”に決めたのも、いざ反対者が出てきた場合は、この久保氏の“強権”にすがろうという考え方があったはず。

 しかしその久保氏の目に余る利益誘導体質が住民の批判を浴びるようになり、神通力が失われたことにより、旭川市は久保氏という防波堤もなく、まともに地域住民と向き合わなければならなくなってきた。

 市が芳野地区でゴミ処理場建設を推し進めるより所としているのが、三年前の十月に江丹別地域開発促進協議会(久保恒雄会長)、江丹別地区市民委員会(小林健蔵会長)、嵐山地区市民委員会(矢野清圓会長)、春日地区振興会(北村英雄会長)の四者と菅原功一市長との間で交わされた同意書の存在。

 しかしこの同意書は、久保氏と久保氏の息のかかった小林氏が、八三%が反対という住民の声を無視して勝手に作成してしまったもので、有効性に乏しい。このため地元住民で組織する江丹別の自然を守る会(藤原邦親会長)では現在、市を相手どって同意書無効の訴えを起こす準備も進めている。

 急がば回れ―旭川市はいま一度、同意書作成の段階までさかのぼり、住民が安心し、納得できる計画案を提示すべきである。

 

風評被害に戦く地元住民

 ゴミ処分場は「一般廃棄物最終処分場」と書けば聞こえはいいが、要はゴミ捨て場のこと。焼却と違って捨てて、埋めるだけ。

 町内のゴミステーションの設置場所をめぐってでさえ、トラブルが頻繁に起きている状況の中で、三十年も四十年も生活圏の範囲にゴミが捨てられるとなると反対しない方がおかしい。しかも江丹別の住民は、これまでも我慢に我慢を重ねてきているのである。

 家庭菜園の作物がカラスの被害に遭うことなど当たり前。売り物の農作物でさえ「江丹別で採れたものはどうも……」と敬遠され、打ち消しがたい風評被害も広がっている。

 反対しても反対しても、その声は行政に届かない。いや届いてはいるのだろうが、既定路線を突っ走る旭川市にとっては、「全体の利益のためには、一部の不利益はやむを得ない」という意識でもあるのか、計画推進を優先させることしか頭にないようだ。

 八月七日に江丹別芳野地区で行われた市環境部による説明会では、次期ゴミ処理場の工事概要を説明しようとする市側に対し、共和や中園など既設のゴミ処理場の実態を確認することが先決とする住民側の意見が衝突、説明会の体裁をなさぬままに終わっている。

 こうした状況の中、江丹別の自然を考える会では、多くの旭川市民にゴミ問題を知ってもらおうと、処分場建設の“凍結”を求める署名運動を開始した。

 その趣旨は次のようなものである。

 「各地の地方自治体では、ゴミ処分場建設には地域住民との協議や合意形成に十分な時間をかけて対応するという姿勢が強化されている。ところが旭川市はこうした流れに逆行するかのように強引とも言えるやり方で建設を推進しようとしている。

 そもそもゴミ問題は旭川市全体の問題でありながら、市は市民的論議を行わないまま現在に至っている。

 江丹別地域の住民は、処分場周辺の環境・安全性に関する科学的調査の実施、事業系ゴミなどの減量計画、処分場への投棄量削減の具体的計画案、地元住民の合意形成の優先などを市に要請しているが、誠意ある対応をとらぬまま補正予算を組み、用地取得にも乗り出し、建設を急ごうとしている。これは地域行政としてあるまじき行為である」

 こうした趣旨から同会ではクこれまでのゴミ処理場の科学的調査を適正な実施方法により行うケゴミの減量化、リサイクル化について今後の計画を明らかにし、市民的議論を行うコ過去の合意書は地域住民に多大な混乱を生じさせている。改めて合意形成を図るための対応を行う―ことを市に要請し、これらを実施するまで処分場建設に関わる一切の行為を凍結するよう求めている。

 「ゴミがなければ江丹別の住民は食っていけない」と暴言を吐いたのは、ゴミ処理場を“打ちでの小槌”にしていた久保組合長だが、大半の住民は農産物の風評被害、土地の下落、生態系の異変などに戦き、「ゴミが来れば食べていけない」「市は江丹別の住民を人間と思っていない」というのが心の叫びなのである。

 旭川市は焦らず、さらに時間をかけて合意形成に努力すべきではないか。