横浜の自民党代議士米田建三氏が
旭川に事務所を開いたネライは?
横浜市に拠点を置く自民党代議士・米田建三氏(五二)が九月十四日、旭川市豊岡十二条四丁目に政経懇話会事務所を開設した。地元の自民党支部には事前に何の連絡もなかっただけに、市内の自民党関係者は一様に怪訝な表情。今津選対の選挙違反事件が尾を引き、自民党の次期衆院選候補が未確定という状況とも絡んで、「事務所開設のねらいは何なのか?」といった声がしきり。
旭川では例のない事務所開設
米田建三氏は現在三期目。横浜市大商学部を卒業後、出版社に勤務、週刊誌記者、代議士秘書を経て横浜市議会議員に当選、その後建設大臣秘書官となり、平成五年の衆院選に初当選。今年六月の選挙では比例・南関東ブロックから当選を果たしている。
本道とは、昨年十月、第二次小渕内閣の時に北海道開発総括政務次官に就任したことから関わりを持つようになり、その後一年のうちに旭川にも二度、講演に訪れている。
一度目は今年三月、市内のホテルで「北海道と日本の将来を考える」という演題で講演、さらに七月にも「頑張れ旭川!どうする日本」という刺激的な内容の講演を行った。また、六月の衆院選挙では、かつて新進党で行動を共にした今津寛候補の応援にもかけつけている。
そんな米田氏を、選挙区の違いこそあれ、陰に陽に支えていこうという応援団が旭川市内で形づくられ、七月十五日には有志約四十五人によって「米田建三旭川政経懇話会」が結成された。
地元以外の代議士を囲む後援会的な組織は、これまでにもあった。
中曽根元総理を支援する「旭川中曽根会」には地元有力者が顔を揃えたし、故渡辺美智雄元副総理についても「旭川ミッチー会」が結成された。二年ほど前には本道三区の石崎岳前代議士の旭川後援会も旗揚げされている。
そうした過去を思い起こせば、横浜を地盤とする米田代議士の政経懇話会が、旭川市内に誕生したとしても特別奇異なこととは映らない。しかし事務所まで構え、事務局員を常駐させるということになれば、「何か特別なねらいがあるのでは」と勘ぐってみたくなるのもやむを得ない。
「深い意味はない」(高木局長)
政治家あるいは政治家を目指すものが事務所を構えるということは、たいていの場合は選挙戦を踏まえた拠点づくりである。米田氏の事務所開きが行われた九月十四日は、選挙で連敗し、自民党候補予定者の立場が危うくなった今津氏の進退に、大きな関心が寄せられている時でもあった。
それだけに「自民党本部は、連敗した今津に見切りをつけ、代わりの候補を送り込んできたのではないか」といった憶測が、まことしやかに自民党関係者の間で飛びかったのも、致し方ないことではあった。
しかも、いかに地元ではないとは言え、自民党籍のある代議士が市内に事務所を構える以上、地元の自民党支部に事前のあいさつがあって当然なのだが、それも一切なく、逆に支部では不可解な行動の真意をはかりかね、情報収集に躍起になったほどだ。
いずれにしても事務所開設以来、憶測ばかりが先行し、なにかと混乱が生じている現状だが、事務局長を務める高木秀司氏((株)大器社長、荒井内科胃腸科事務長)は「事務所を設けたのは便宜的なもので、深い意味はありません」と、さらりと受け流している。
高木氏によると、米田代議士の事務所を設けることになったいきさつは次のようなことになる。
米田代議士の熱烈な後援者の一人に、横浜に本社を置く農業用資材販売会社、エスコジャパン(株)の喜田泰央社長がいて、この喜田氏と、肥料販売の(株)大器を経営する高木氏は業務上の取引関係もあって十数年来の付き合い。
昨年、北海道開発総括政務次官になった米田代議士が、北海道の情勢をもっと詳しく知りたいという意向を示したことから、喜田氏を通じて旭川の高木氏が紹介され、高木氏が中心になって市内に米田氏を囲む政経懇話会が設立されたという流れである。
事務所まで設けたことについて高木氏は「エスコジャパンや大器の事務所が必要だったので、併せて政経懇話会の事務所も置くことにしただけのこと」と話している。
上草氏の去就も絡んで…
米田建三旭川政経懇話会の会長には市議の杉山允孝氏が就いている。杉山氏は高木氏との友人関係から会長を引き受けたようで、同氏の後援会長を務める谷脇秀高氏(谷脇組社長)も相談役として名を連ねる。
その他、幹事として名前が挙がっている顔ぶれを見ても政治的な一貫性は見当たらず、世間が注目するような「今津氏に代わる候補を立てるための選挙目当ての組織」という色合いはどこにもない。
現に九月十四日の事務所開きには、自民党の鈴木宗男総務局長(道連会長)や菅原功一旭川市長から祝電が届き、今津派の東国幹道議も出席している。杉山会長も「課題山積の旭川市を建て直すための、米田代議士を中心とする応援団」であるとし、他意はないことを強調している。
実際問題、米田代議士は次の衆院選では神奈川第5選挙区支部から出馬することが確定しており、同選挙区の支部長にも就いている。従って米田氏本人が今津氏に代わる北海道第6選挙区支部の候補になることはありえない話だ。
しかし世間の勘ぐりはそれでおさまるものではない。旧小渕派に所属する今津氏の進退が微妙になっているこの時期、江藤・亀井派の上草義輝元代議士の浮上が現実味を帯びつつあるからだ。
それを後押しするかのように菅原市長の後援会長に吉竹脩男氏(上草後援会会長代行)が就き、旭川建設業協会会長には盛永孝之氏(上草後援会幹事長=建協会長就任とともに辞任)が就いた。こうした状況を素直に考えるなら、保守三派時代の上草軍団の勢力はいま確実に復活の機運にあると言えるだろう。
そして、米田代議士もまた江藤・亀井派。この先、亀井静香氏の旭川後援会を設立しようという動きがあると噂される中で、米田代議士の事務所開設がどんな意味を持っていくのか、取り越し苦労かもしれないが、旭川市民は無関心ではいられない。