小檜山亨氏(元旭川商工会議所会頭)も“参った”
預託金償還を5年延長した
旭川メモリアルCC

 ゴルフ場の預託金償還問題が全国で取りざたされている中、旭川市内及び近郊のゴルフ場で最も注目されていた「旭川メモリアルカントリークラブ」(小檜山亨社長)の方針が打ち出された。据え置き期間の五年延長、その代償措置として会員権の三分割と登録会員制度の新設。予想されていた内容ではあるが、償還を当てにしていた会員にとっては、不安と落胆が入り交じる決定ではある。

「ないものは払えない」

 株式会員制をとる台場、愛別、大雪山を除き、旭川近郊の預託会員制ゴルフ場はいずれも、すでに償還期に入っている。

 グレート、グリーン、JASのように返還請求があれば順次応じているところもあるが、セント、ゼニス、白金では据置き期間の十年延長、その代償措置として会員権の分割、登録会員制度の新設という理事会決定を打ち出し、「いまは返せません」としている。

 額面数十万〜数百万円もの会員権を、据置き期間が過ぎたから返してくださいと言っても、いまのゴルフ場が即座に対応できるわけはない。もともと、返還することなどありえないという状況判断でスタートしているからである。

 ゴルフ場利用者数がバブル期のまま推移していれば、かなりの蓄えもできただろうが、長引く不況がゴルフの回数を減らし、特にここ数年は「ゴルフも仕事のうち」といった言葉が通用しなくなったためか、平日のプレーが激減している。

 こうした状況から、各ゴルフ場が「お返しできません」の代償措置を相次いで発表する中、後発でスタートした「旭川メモリアルカントリークラブ」の償還期が近づき、その対応が注目されていた。

 何といってもメモリアルは、当時旭川商工会議所会頭で、地場を代表する企業、高砂酒造社長の小檜山亨氏が手がけたゴルフ場。会頭、老舗企業と、これ以上の信用はないという背景のもとに販売した会員権であるだけに、付き合いで買うことになった人にしても、約束の履行は間違いのないものとして捕らえていた。

 しかし、いかに小檜山氏といえども、ないものは払えない。北洋銀行、道銀といった道内の二大銀行が経営会社の株主(両行で株式の二二・五%を所有)であることが、会員にとってはいくらか安心材料ではあったが、いったいメモリアルがどのような対応策を打ち出してくるかが、ここ数年の関心事だった。

先見の明があった?会則

 旭川メモリアルカントリークラブの預託金償還問題は、今年三月に設置した運営委員会(十四人構成)で、五回の委員会を開いて討議されてきた。その討議結果は八月三十日に理事会(二十三人構成)にかけられ、出席した十三人の理事によって慎重に審議され、承認された。

 それによって決定したことは、大まかに言うと「十年の据置き期間をさらに五年延長する」「会員権の三分割を認める」「登録会員制度を新設する」ということの三点であった。

 つまり、返還についてはもう五年待ってもらい、その代わり会員権の三分割を認め、さらに会員と同等の権利を有する登録会員制度を新設するという内容のものである。対応策としては、先に発表した白金やセント、ゼニスと同様のものだが、内容的には若干異なり、メモリアルの特性がよく現われている。

 何が違うかといえば、まず延期の期間が違う。他のゴルフ場の延期期間はいずれも十年。しかしメモリアルの場合は五年。これは実は会則の違いからくるもので、他のゴルフ場が据置き期間の延期をまったく想定していなかったのに対し、メモリアルの会則には「一回だけ、最長五年の延期ができる」とうたわれているのである。

 しかし、これからわずか五年で、ゴルフ場の経営に、すべての預託金償還要求に応えられる余裕が生まれてくるとは考えにくく、メモリアルとしてもやはり十年くらいの延長策を講じたいところだった。

 だが、会則を適用して五年延長することは理事会の決定だけでできるが、会則を変更して期間を十年に延ばそうとすると、会員総会を開いて合意を得なければならない。八百人以上に及ぶ会員総会を開き、そこで了解を得ることなど現状では不可能に近い。

 そこでやむなく、会則の範囲内で対応することにしたというのが実情だが、十年前に作った会則に“延期”が盛り込まれていたということは“先見の明”だったのか。

3分割で換金の環境づくり

 いかに会則にあるからといって据置き期間の五年延長は、償還をあてにしていた会員にとっては大きな痛手。ましてやこの経済情勢では、一日も早く会員権を現金化したいと考えていた法人、個人が多かったはずで、なんらかの代償措置が必要になってくる。

 それが、会員権の分割である。これは他のゴルフ場でも実施している対応策だが、メモリアルの場合は三分割を打ち出した。

 メモリアルの会員権はおおむね、オープン前に縁故募集した個人五百万円、法人一千万円と、一次募集したときの個人六百万円、法人一千二百万円の四種類に分けられる。

 例えば六百万円の個人会員権を持っていたとすれば、額面二百万円ずつの会員権に三分割できるわけだ。ただし三人で分けたとしても正会員は一人、他の二人は新設の「登録会員」という形になる。これはどの額面の会員権でも同じだが、正会員と登録会員の権利・義務上の差は何もない。

 そこで、なぜ三分割が代償措置になるのかということだが、詰まる所、現金化しやすくなるということである。ゴルフ場が償還に応じないのなら、せめて誰かに買ってもらいたいと考える会員も多いはず。

 しかし、会員権相場がガタ落ちの昨今、五百万、六百万の会員権を額面通りの値段で買ってくれる人などいるはずもない。だがその三分の一の価格となると状況も変わってくる。うまくいくと買い手がつくかもしれない。

 メモリアルの会員権は、売買例がほとんどないため相場が立っていないが、台場や愛別が百五十万程度だから、メモリアルも現状はそれくらいのものではないか。

 六百万で買ったものを百五十万で売るとなると、差損が大きすぎる。しかし三分割して二百万にすると、百五十万で売ったとしても差損は少ない。うまい具合に三人に譲渡できれば四百五十万は戻ってくるわけで、このくらいなら換金してもあきらめはつく。

 つまり会員権の三分割は、一枚の会員権に三倍の付加価値をつけるということであり、これが、償還できないことの代償措置というわけである。

 他のゴルフ場では五分割、十分割も実施しているが、メモリアルでは「細かく分割しすぎて額面が相場より下がると、さらに相場を崩すことになる」という判断で三分割に抑えた。

「何とぞご理解を」(支配人)

 「九月末に会員の皆様に理事会の決定をご案内しましたが、さまざまなご批判をいただいていることについては、心より申しわけなく思っています。

 この先、五年後にはお約束通り償還に応じられるよう経営努力を重ね、また、会員権相場が少しでも上がっていくよう、コース造りにも全力で取り組んでまいります。

 なにとぞ、今回の方針決定にご理解いただきますよう、伏してお願い申し上げます」(高木哲男常務取締役支配人