市政の不可思議、問題点の改善目指し
「市民オンブズマン」の開設準備進める
創造と改革
旭川市内の若手経済人らでつくる「創造と改革」(市田敏行会長、会員六十二人)が「市民オンブズマン会議」の設立準備を進めている。旭川市の行財政運営に対して、市民の立場からチェックし、改善を働きかけていくことが主な目的。設立準備委員会(仮称)を立ち上げ、来春以降の設立を目指し、広く一般市民へも参加を呼びかけていく。
議会、監査のチェックでは不十分
「オンブズマン」とは、スウェーデン語で「護民官」を意味する言葉で、国民に代わって行政苦情の解決や行政の適正運用の確保を図るために行動する人のことをいう。北欧などヨーロッパを中心に世界約三十ヵ国で制度化されている。
日本では国レベルの制度化は行われていないが、川崎市や新潟市など複数の自治体が制度化、市民主権の理念に立ち、行政に対する苦情を調査、迅速に処理し、行政を監視している。
また、自治体の条例によって制度化され設けられた機関とは別に、市民自らが行政の執行過程を監視しようというのが市民オンブズマン。官官接待や地方自治体職員のカラ出張、カラ手当支給などの実態を明らかにしたのは、この市民オンブズマン。現在も全国各地で市民オンブズマンによって行政の不正が摘発されている。
「創造と改革」が設立を目指すのは、この市民オンブズマン。道内では札幌と函館に続き三番目の開設となる。現在、創造と改革の内部に設置されている市政研究委員会(石川千賀男委員長)が中心となり準備を進めているが、委員長を務める石川氏は旭川での必要性を次のように語る。
「最近はエコ・スポーツパーク問題をはじめ、行政の問題点が浮き彫りになっていますが、市民が真相を知りたいと思っても、なかなか事実関係が明らかにされない状況です。
本来なら、監査や議会がチェック機能を発揮しなければならないのですが、議会では会派の利益、駆け引きが優先され、真実はうやむやになっている。議会や市の監査が十分な機能を果たしていないのです。
旭川市は今年四月、中核市に移行しました。都市の規模、役割からいっても旭川市には市民オンブズマンが必要性です」
「提案型」のオンブズマン
前述したとおり、全国では多くの市民オンブズマンが活動しており、成果をあげている。オンブズマンとは一般的に、行政に対する市民の苦情を行政との間に立って処理する第三者機関という認識があるが、創造と改革が目指す市民オンブズマンはこれらの「請負型」の活動とは違う。それは、「よこはま市民オンブズマン」の活動に近い。
「よこはま市民オンブズマン」のホームページによると「行政の不正・不当な行為、税金の無駄遣いを市民の目でチェックし、是正を働きかける市民運動。メンバーの一人ひとりが行政の問題点に関心を持ち、その解決策を探って行く主体的な活動」という。
創造と改革が目指す市民オンブズマンは「提案型」。旭川市の行財政運営に対して市民の立場からチェックし、改善を働きかけていくという。
「行政全般の諸問題を対象にしていますが、決して重箱の隅を突つくようなことはしません。あくまでも市民として行政の不可思議な点、問題点を指摘し、改善策を提案していくような機関を目指しています」(石川委員長)
これまで十回程の勉強会を重ね、この八月二十一日に行った例会では「市政を探る」をテーマに活発な意見交換を行った。その中にあった興味ある意見をいくつか紹介してみる。
1.市営住宅
行政サービスの中でもこれは、大変非合理的。専門家からみると、市が発注する市営住宅の建設コストは高過ぎる。最近の建設例を見ると、坪単価は六十〜七十万円程度。これを分譲マンションを手掛ける建設業者だと四十〜五十万円に抑えられる。しかも、グレードは高い。
市が高い土地を買って、コスト高の建物を立てて、安い家賃で市民に提供するというのはいかにも非合理。それならば、民間の業者にコストを抑えて建ててもらい、それを市を通じ市民に賃貸するという方法のほうが、経費がかからず合理的ではないか。
2.行政改革
市の機構も改善すべき点が多い。機構図を見ると複雑で、職員の数も約三千五百人と多過ぎる。民間企業で考えた場合、仕事量に対して、果たしてこれだけの部署と職員が必要なのかを精査する必要がある。市の中にも行政改革推進事務局があるが、身内のことを身内が改革出来るのかは疑問。適切な判断はできないのではないか。
市の機構とは別の機関がコンサルティング的に見て、これは要らない、この部署はこれだけの人数でいいのではないか、というふうに見直すことが必要ではないか。
また、市民から見ても旭川市の機構・組織は非常に分かりづらい、もっとシンプルで分かりやすいものにならないか。そうした部分も民間サイドからの機構改革で提案していけないか。
3.窓口サービス
窓口へ行ってたらい回しにされる。受付にいる職員にしても、「着任したばかりですから」というケースも多く要領を得ない。窓口に置くのであれば、ある一定期間、事前に研修して、窓口に着いたときは市民に十分な対応ができるようにしておかなくてはならない。民間では考えられないこと。とても不可思議な点。
4.旭川空港の利用
旭川空港の利用料は他よりも高いと言われるが、なぜ下げられないのか。また、旭川空港は利便性が低い。
旭川空港の場合は、一番機の時間が遅く、帰りの便は早い。非常に利用しづらい。これは旭川空港内に駐機施設がないからだと言うが、専門家に言わせると、それほど大きな屋根付きの施設は必要ないという。寒冷地域であっても、飛行機の必要な部分だけ温めておくことができれば、問題ないという。
5.公共施設維持管理のムダ
年に何回かしか使用しない施設を多額の税金をかけてつくっている。例えば、大雪クリスタルホールの国際会議場。これなどは、民間のホテルなどに補助金を出して整備してもらい、必要な時に市が利用するという風に出来ないものか。仮にホテルなどがそうした施設を整備したら、もっと効率的に活用するだろう。
来春以降の開設目指す
以上のように旭川市政には不可思議な点がいくつもある。こうした不可思議な点を市民の立場から取り上げ、改善策を提案していくというのが創造と改革が目指す市民オンブズマンだ。
「あくまでも前向きに、旭川の活性化につながるようなものにしたい。
現在は、まだ、スタートラインに立ったところで、今後はさらに創造と改革の市政研究委員会で煮詰めていき、設立の目的、設立趣旨、活動内容、組織、会則などを明確にしなくてはなりません。そして、新聞紙上で意見広告を掲載するなど広く市民に呼びかけることも必要です。
その上で『市民オンブズマン会議設立準備委員会』のようなものを立ち上げなくてはなりません。来春の設立は難しいかも知れないが、着実に進めていきたい」(石川委員長)
早期実現に向け頑張ってもらいたい。