65歳以上の徴収スタートで市介護福祉課には1500件の問い合わせ
これでいいのか!? 介護保険
介護が必要なお年寄りを社会全体で支えようと介護保険がスタートしてから半年。低所得者には利用料の負担が大きく、実際のサービス利用が五割にも満たないことが問題となっているが、十月からは六十五歳以上の人からの徴収も始まり、利用者やお年寄りを抱える家庭では「これ以上負担が大きくなると生活が苦しくなる」と不安が広がっている。
半分にも満たない保険利用
介護を必要とするお年寄りが急増する本格的な超高齢社会に備えて始まった介護保険。四月のスタートに向けて旭川では八千百四十二人が申請し、そのうち六千八百七十三人が要支援、要介護の認定を受けた。
当初から「制度のしくみがよくわからない」「認定にもれて困っている」といった声があがり、問題を抱えてのスタートとなったが、この半年間で一番問題とされたのが低所得者への負担が大きいこと。制度が導入されるまでは無料でサービスを受けられていたものが、利用額の一割を負担しなくてはならなくなり、介護が必要なものの所得が少ないために限度額いっぱいの満足のいくサービスを受けられない人が多いのだ。
まだ詳しいデータが出されていないが、旭川市介護保険課によると平均利用額は限度額の四五%前後になるとされている。旭川の隣町、美瑛町でも利用額の平均は三九・六%と三分の二にも満たない低い利用が浮き彫りになっている。
市内の福祉施設で働くケアマネージャーのAさんは主な仕事として介護プランを組み立てているが、「どのような介護が必要かではなく、どれくらい利用額を払えるのかが介護プランを立てるうえで先になってしまうことに疑問を感じている」と話すが、どの施設でもこれが実情のようだ。
「年金だけでは支払えない」
十月からは六十五歳以上の人の徴収が始まった。来年九月までは半分に減額されるが、厚生年金や国民年金の受給額が月一万五千円以上であれば年金から天引きとなり、それに満たない人や老齢福祉年金、遺族年金、障害年金など非課税年金のみを受け取っている人は口座振り替えか、市が指定する金融機関に納付書を付けて支払うことになっている。
旭川市では七月中旬から納入通知書が発送されているが、通知書が届いて初めて保険料を支払う義務があることを知ったり、あらためて保険料の高さに驚きを隠せない人も多いようだ。市介護保険課には保険料や徴収方法について千五百件の問い合わせがあった。
介護保険の充実を求めてシンポジウムや自治体への制度改善の申し入れなどを行っている旭川・上川社会保障推進協議会では徴収スタートを前に「介護・国保一一〇番」という相談会を開いたが、一日で十七名のお年寄りが訪れ、高い保険料への苦情が大半を占めた。
御主人と二人暮らしの六十五歳の女性は、国民年金と厚生年金を合わせて月額約八万円で生活しているが、二人合わせて半年分となる一万五千円の保険料の請求がきたという。「これでは生活ができない」と窮状を訴える。
また、一人暮らしの六十八歳の女性は「年金が年額百三十万円で家賃が月四万三千円。病院へはタクシーで通院している。切りつめて生活をしているけれど、保険料が正規の金額になるとどうしたらいいのかわからない」と嘆く。
高齢者を抱える家族も悩みは深刻だ。母親の介護をしている男性は「デイケア、ショートステイを利用しているけれど、介護保険になってから利用料や保険料を合わせると母親の年金だけでは支払いができない。困った制度だと痛感している」と話す。
こうした声は全国的に上がっているもので、全国の自治体では一部の低所得者の保険料を独自に減免するところが増えている。美瑛町では、従来の利用料と格差の大きなものについては、利用者の負担額を三%にまで引き下げる措置をとり、サービス利用の向上に努めている。残念ながら旭川市ではこのような措置はまだとられていない。
新たな介護認定審査が行われ、八月末日のデータによると旭川市では一万一千二百四十人が申請し、八千三百七十六人の保険適用が認められた。そのうち、最も重度の要介護度5のお年寄りは千五十人にのぼる。
市内には家庭で利用したり施設に通って利用できる在宅サービスの事業所が約五百あるが、サービス量はまだ不足気味。また、特養施設などへの入居を待っているお年寄りも三百人近くいる状態だという。市では平成十六年までに定員二百名の介護老人福祉施設と定員百名の介護老人保健施設の建設を計画しているが、これもまだ先の話で早急な対応にはなっていない。
六十五歳以上の徴収のスタートで新たな局面を迎えた介護保険。解決すべき課題は多い。