●今月の視点●

新世紀といえども不安はつのる

西 田  勲

 いよいよ二十一世紀を迎える。新世紀は晴れがましく、希望をもって迎えたいものだが、日本の経済情勢はそうもいかないようである。

 バブル崩壊後、不況は十年以上も続き、一時は金融不安に覆われたほどであった。政府はあらゆる財政出動を試みたが、その結果、今年度末には国と地方の借金額は六百五十兆円に達する見込みで、ツケは重く国民にのしかかることになる。さまざまな政策が実行されたにもかかわらず、今も物価下落は続きデフレ懸念は止まらない。失業率は高止まりのままだし、個人消費も一向に伸びない。

 民間から起用され、二年余り経済企画庁長官を務めた堺屋太一氏は退任にあたって「精一杯、回復への道筋はつけた。この後は普通にやればうまくいく。それほど将来を悲観することはない」とコメントしていたが、こうした楽観論は少ない。日本の二十一世紀についてさまざまな評論が出ているが、暗い予想の方が圧倒的に多いのが現実である。

 野村総合研究所が先に発表した日本経済の中期予測は、「このままの状態が続けばあと六年で破綻する」というショッキングなものである。

 同研究所の予測によると、国と地方の歳入を合わせ毎年ざっと六十兆円が不足しているのだそうだ。毎年、この額を借金で賄わなければならないのである。単純計算すると五年で三百兆円。これでいくと現在の六百五十兆円の借金は五年余りで一千兆円を超えてしまうことになる。国民一人当たりにすると八百万円という額。このため、日本は国家予算を立てることが出来ず、間違いなく財政は破綻するというのである。

 この予測が当たっているとすると、日本経済は回復基調をたどっているどころか、逆に崩壊の道を歩んでいることになる。

 政府は経済再生策として公共投資の削減、そしてIT関連投資を主な政策としているが、とてもその程度で追いつくものではなさそうである。

 森首相は機会さえあれば「IT関連投資」と口にするが、しかし、ITが救世主になるとは必ずしも思えないのである。ITを中心に絶好調であったアメリカの景気の先行きにも陰りが見え始めたし、IT関連企業の多いナスダック市場も不安定な状況が続いているのである。

 

 師走に出たある若者向けの雑誌で『二十一世紀初頭の日本人の生活はどうなるか』と題した記事が載っていた。それによると、まず年功給が崩れ能力主義となり生涯給与は減る。年金制度は破綻必至で、受給開始も七十歳になってしまう。また消費税は三〇%程度まで上がり、大都市は別として地方都市のマンションは資産価値がほとんどなくなる。少子化の影響で私学助成が削減され教育費は、大学で一・七倍になる。さらに失業率は五〜六%台が続き、土地の下落はいうまでもなく、大量国債発行のため貯金までが価値を失っていくという。

 新年、新世紀を迎えて誠に暗い話を続けて恐縮だが、しかし今、国民のだれもが何を頼りに生きていくべきかを悩み、危機感を抱いていることも事実。

 日本人は先の敗戦から国を見事に立ち直らせ世界第二の経済大国にした勤勉で優秀な国民である。この難局も乗り越えていくものと信じるが、やはり国民をひっぱっていく政治家、そして官僚の責任は重いと思う。政治家には、選挙や利権ではなく国の将来を真剣に考えてもらいたいし、官僚も保身、縄張りではなく、変化の激しい経済情勢にあわせたスピードを期待したい。