| 旭川冬まつりに合わせて『プレ雪の降る街を音楽祭』が三日間にわたって開催された。冬まつり会場の石狩川河畔で行なわれたメインイベント『雪の降る街を大合唱』は風雪に見舞われはしたが、スノーステージにあがった合唱団員と市民、観客が一体となって名曲を歌い上げ、感動的であった。
ご存知の人が多いと思うが、雪の降るまちをは、『君の名は』に続いてお茶の間で大人気となったNHKラジオドラマ『えり子とともに』の主題歌である。作曲は昨年亡くなった中田喜直さんで、作詞は内村直也さん(故人)が担当した。
ある時、放送時間が三分余るというアクシデントがあり、二人がその時間を埋めるために一気につくりあげた曲と言われている。即席でつくられたものだが、旋律も詞もロマンチックで美しく、多くの人に好かれまた歌われて、日本人ならだれもが知っている名曲となった。
曲のモデルとなった街はどこにもないそうである。「しんしんと静かに雪が降り続く北国の街」というイメージだけでつくりあげたもので、当時のお二人は旭川など想像だにしなかったと思う。
しかしその後、中田さんは旭川と深いご縁をもった。毎年のように旭川を訪れ、ここでスキーを大いに楽しみ、指導員資格まで取得している。内村さんも昭和四十八年に全道高校演劇大会が旭川で開催された時に来旭している。ご自身、この街は曲のイメージにあっていると思われたのだろう、「雪の降るまちをの曲を旭川の歌と思ってもらって良い」と話し、そのお墨付きが北都商業高校に大切に保管されている。
そういった経緯があって、平成六年に発足した『旭川音楽振興会』が「曲名を冠にした音楽祭を旭川で開催しよう」と活動を始め、今年プレイベント開催にこぎつけたのである。縁があって、音楽振興会の会長を今、私が務めている。旭川は音楽の街と言われて久しいが、全国へ発信できる大きなイベントがなかった。『雪の降る街を音楽祭』開催を通して、音楽文化が根付き活動の盛んな街であることをアピールしていきたいとの強い思いがある。
プレ音楽祭には中田さんの未亡人、幸子さんが駆けつけてくれたが、「この街に来て足音だけが追いかけてくる≠フ歌詞の意味がやっと分かりました」と話していた。雪道を歩き、キュッキュッと鳴る自分の足音を聞いて理解したのだそうである。また、「遠い国からおちてくる」の表現も、風の無い静かな旭川に降る雪の様子を現していると思う。旭川の歌だと言い張るつもりはないが、イメージにもっとも合った街と自負している。
今回のプレ音楽祭が成功に終わり、来年、正式に誕生する可能性が強くなった。幸子さんも、雪の降るまちをという冠名の使用を快諾してくれている。開催日は旭川冬まつりに合わせ、中田喜直新人音楽賞を中心に多くの市民が参加できるイベントを目指したい。
また、旭川音楽振興会では、雪の降るまちをの曲をJR旭川列車発着の際に流してはどうだろうかと提案している。NHKの年越し番組『ゆく年くる年』での大合唱生中継という企画もあがっている。関係機関に積極的に働きかけて一つずつ実現させ、一層、市民に親しまれる曲にしていきたいと考えている。
このところ、菅原市長は街づくりの視点を公共事業から文化重視にシフトを替えつつある。文学では三浦綾子記念館、小熊秀雄賞、彫刻では中原悌二郎賞などがあるが、これに中田喜直新人音楽賞が加わることで、文化の香り高い町として知名度があがることを願っている。
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