昨年お目見えしたペンギンが泳ぐ姿を水中トンネルから観察できるペンギン館、今年新たに誕生したオランウータンの空中散歩が真下から見ることのできる施設などが人気を呼んで、今シーズンの入場者が9月末で50万人を超えた。50万の大台は15年ぶりだそうである。
実はこの夏、私も久方ぶりに旭山動物園に行った。日中猛暑となった日で、夕涼みがてら家族を伴って出かけてみた。
まず驚いたのは、入場者の多さである。家族連れも多かったが、特に若いカップルの姿が目立った。涼しくて楽しい動物園は最高のデートスポットとなっているようだった。売店の灯も、夏祭りの夜店の風情を演出し、なかなかムードがあった。人気の高いペンギン館は客でごったがえし、ここが旭川かという盛況ぶりで、平家ボタルが光を放つ様子を間近に見られるようにしたホタルのこみちには、感動した。昼間とはまた趣の違う夜の動物園は大人でもうきうきして楽しいものである。まだ行ったことのない人はぜひとも来年の夏に、足を運んでもらいたいと思う。
旭山動物園は、昭和42年に日本最北の動物園として、当時の市長五十嵐広三さんの肝いりで誕生した。50年代は多くの入園者があったが、徐々に人気がダウンし、平成7年には26万人とピーク時の半分にまで落ち込んでいた。
人気が下降していった原因はいくつかある。一つには、各地につくられた大小のテーマパークやアミューズメント施設に、客を取られてしまったという点。二つ目は、誕生から20年以上たって、設備が老朽化していったことである。
ご存知のように、動物園は企業経営のように損益感覚で考えると、成り立たないものである。実際、旭山動物園の経営を維持するために、毎年数億円の市費が必要で、昔も今も「金食い虫の動物園はやめるべきだ」との意見が議員などから出てくる。五十嵐革新市政がつくった施設だけに、その後の坂東市政時代はそうした不要論も強く、改修や施設の見直しなどはほとんど行なわれなかった。「動物園はいつ行っても同じで楽しくない、魅力がない」と市民に敬遠されるようになっていった。
菅原市政に代わってから、次々に施設の整備と新設が行なわれるようになったのは喜ばしいことである。平成10年にはもうじゅう館、11年にはサル山、そして昨年はペンギン館、今年に入ってオランウータンの飼育館と次々に市民を楽しませてくれる話題の施設が誕生した。
来シーズンにはホッキョク熊のダイナミックな生態を観察できる施設が加わり、その後には石狩川水系の生き物たちを集めた淡水魚水族館も計画されている。
こうした積極的な充実した動物園づくりが、集客増につながり、50万人台に返り咲くことができたわけである。
また、現園長の小菅正夫さんの動物に対する熱い思いも、動物園を活気づかせた一因だと思う。小さい時から動物好きでイヌやネコはもちろんのことクモまで飼育した経験があるという園長さんは、限られた空間で動物たちが生き生き暮らせる環境づくりということがいつも頭から離れないそうである。「動物たちの生きざまを通し、自然環境の大切さを知ってもらいたい。石狩川の水は北極や南極とつながり、地球の生き物もまた深くつながっているのです」と話している。
暗く殺伐とした空気が支配的になっている時代だからこそ、心をなごませてくれ幸福な気分にさせてくれる動物園は貴重な存在である。さらなる旭山動物園の施設充実を楽しみに、また期待して見守っていきたい。