昨年の新年号のこの欄で『新世紀といえども不安は募る』と題し、日本の経済が確実に悪い方向に向かっていて心配だと書かせていただいた。残念ながら予想は的中し、日本経済は1年前よりもかなり悪化している。株価は下がりっぱなしで、失業率はとうとう6%台に突入してしまった。
もっとも象徴的に現れているのが、日本国債の格下げではないだろうか。アメリカ、イギリスと並んで上位だったのはもはや過去のことで、年末にはついに、G7の中で最下位のイタリアと並ぶ『Aa3』まで下がってしまった。
国債格下げの最大の理由は、期待したほどに進まない日本の財政構造改革と不良債権処理問題。日本国内では小泉首相の取り組みは急進すぎると批判の声もあがっているが、外国から見ると、小泉さんの手法も問題先送りで、日本式の手ぬるいものと映っているようである。
実際、道路公団などいくつか具体案が出された構造改革も、抵抗勢力が動き出したことで、実現への道のりは険しくなり時間がかかりそうであるし、「処理を急げ」と、ここ数年声高に叫ばれてきた金融機関の不良債権問題も一向に改善されていない。改革のスピードがこのままスローペースならば、さらなる日本国債の格下げもあり得、それは株安を誘発して景気を一層悪化させる。そうあって欲しくないと切望するが、自民党の公約である議員歳費(報酬)の1割削減が、当の議員たちの反対でいつのまにか取りやめになったことなどを見せつけられると、日本の政治家に大改革は無理だと思えてしまう。
それにしても、日本経済のなかなか浮上できない理由は何だろうか。エコノミストは口をそろえて「地価や賃金などの生産コストが日本は世界一高いものとなり、産業の生産拠点が中国や東南アジアに移ってしまったことである」と指摘している。いわゆる産業の空洞化である。この問題を是正しなければ、根本的な経済再生は不可能との認識が強くなってきており、これからは日本も、本格的な給与の減額時代を迎えるものと思われる。
経営環境が急速に悪化する状況に耐え切れず民間企業ではすでに給与カットに踏み切るところも目立ち始めており、聖域となっていた国家公務員給与の最高額も、年末に小泉首相が減額検討を指示したことで、見直しの気運だ。
先日、ある金融機関の融資担当者と話をする機会があったが、「融資先の80%は赤字。残る20%のうち半分は何らかの粉飾でかろうじて黒字。本当に収支黒は全体の1割に過ぎない。これでは、満足な融資もできない」と頭を抱えていた。企業の経営環境はそれほどに悪化しているのである。また、ある経営コンサルタントがこう話していた。「今の時代、売り上げや粗利(あらり)の拡大は望めない。この不況を乗り切っていくには大胆な経費のカットが必要で、一番は人件費である。あい変わらず年功序列で給与を払っているような会社は近い将来経営危機に陥るものと覚悟したほうがいい」
先ごろ、北洋銀行がはじき出した2002年度の北海道の経済実質成長率見通しはマイナス1%。1984年以来17年ぶりにマイナスになるという。公共事業の落ち込み、デフレの進行、設備投資と住宅建設投資の冷え込みなどで、経済の底冷えは続くとの見通しである。
ありきたりの言葉だが、今年も生き残りをかけて頑張るしかないのである。