4条買物公園通のまつ井靴店が昨年師走に店を閉め、お隣の梅原中央社も後を追うようにしてこの1月で閉店する。まつ井靴店の松井社長とは、青年会議所が一緒で、それ以来お付き合いをさせていただいた。梅原中央社の先代社長さんとは中学の同級で、2店ともに個人的によく知っていただけに、相次ぐ自主廃業に、寂しさを覚える。
改めて言うまでもないが、今、買物公園の商店に限らず、小規模な小売業の経営環境は極めて厳しい。郊外に次々に誕生した大型店に客を奪われ、個々の店の努力やまた商店街の取り組みでは対抗できずに年々、売り上げが減少している。しかもここ2、3年はデフレ要因も加わり存続の危機を迎えているのである。
松井さんは「この先はさらに厳しくなる。人さまに迷惑をかけないうちに…」と、店を閉める決断をした。できることなら松井さんのようにここらで店じまいをと考えている商店主は多いのだが、しかし大方は、借金だけが残るために辞めるに辞められず悩んでいるのが実情なのである。
自由競争の下での自然淘汰と言ってしまえばそれまでだが、しかし、地域で親しまれた老舗の店が将来に見切りをつけ次々と消えていくのを、大手の勝ち負けと同じように「時代の流れ」と看過して良いものだろうか。日本の経済は中小企業で成り立っていると言われるが、地方にいけばそのウエイトはさらに高く、中小の商店の消滅はその町の衰退につながる。松井さん、梅原さんの後にさらに閉店が続けば、旭川の顔である買物公園の様相はガラリと変わってしまうのである。
今、グローバルスタンダードの名の下に、経済のあらゆる分野でものすごい競争が行なわれている。世界基準の自由競争といえば聞こえはいいが、ようはアメリカ主導の改革である。旭川では大手企業であるホクト電子も日本製紙旭川工場も、このグローバルスタンダードについて行けず、いずれ撤退を余儀なくされるだろうと言われている。また、今のような競争が10年続くなら地方の老舗は半減すると予測するエコノミストもいる。
小泉政権の構造改革自体を否定するわけではないが、やはり地域経済を支えている中小零細が生き延びることのできる政策づくりをのぞみたい。
日本とは地球の反対に位置する南米アルゼンチンの経済は今、債務不履行を宣言しなければならない非常事態となっている。19世紀末から20世紀初頭にかけて、世界で最も裕福な国と言われながら経済が破たんし、90年代に援助や融資を条件にアメリカ主導の経済改革に次々に取り組んだが、事態はさらに悪化し破局的なものとなってしまったのである。規制緩和、民営化促進などのアメリカの処方箋が正しかったならば、それを忠実に守ったアルゼンチンは今ごろは繁栄を取り戻していたはずだが、結果はその逆となった。
「日本はアルゼンチンと同じ道をたどる」という、不気味な予測が最近、飛び出している。まさかそこまでと信じられないのであるが、「改革」という言葉ばかりが踊り一向に景気回復の糸口が見えない現状を見せ付けられると、ふと最悪のシナリオもあり得るのではと弱気になってしまうのは私だけではないはずである。
グローバルスタンダードという考えに基づいた改革は、必ずしも「経済再生」の処方箋とはならないのではなかろうか。アルゼンチンの悲惨な現状がなによりも明確に物語っている。改革は必要だが、やはり日本の現状に合わせた中小零細に配慮した進め方を考えてもらいたい。