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注目された長野知事選で田中康夫前知事が圧勝した。「独善的」と県議会などから強烈に批判された田中氏だが、無党派層中心に長野県民は脱政党の政治手法を支持したのである。
「脱ダム」を掲げた田中氏が再選されたことは、従来のように大きな公共事業を公約に掲げた選挙は成り立たないことを示しているのだと思う。長野県の場合、旧体制(自民党支配)下で過去に道路や施設建設などに巨額の公共投資が行われ、その結果、県は1兆6000億円もの借金を抱えてしまった。多くの県民はこの巨額の借金に強い危機感を抱いており、「借金を増やすだけの公共投資はノー!」と審判を下した。
また、土建業界や労働組合などが核となった従来の組織型選挙では票が動かない、勝てないという政治の流れは長野県にとどまらず全国的な風潮と見られ、各党とも来春の統一地方選へ向けて新たな対応を迫られている。
さて、公共投資のツケと税収落ち込みで財政が逼迫(ひっぱく)しているのは長野県に限らない。全国ほぼすべての自治体が同じような状況にあり、もちろん旭川市も例外ではない。
現在、旭川市は1850億円の借金を抱えている。借金返済に備えた積立金や貯金も、今年度予算編成にあたってほぼ使い果たしてしまった。「早急に改革に取り組まなければ来年度以降、予算が組めない。このままでは市の財政は破綻してしまう」と警鐘を鳴らす市議もいる。
先に菅原市長は、来年度の事務職員と技術職員の新規採用凍結を決め、今後4年間で250人の職員を削減すると発表したが、言うまでもなく逼迫した財政を改革するための方策である。ところがその一方で総事業費何と250億円(国の補助金を含めて)の巨費を投じて東光地区に東光スポーツ公園を造ろうとしている。
東光スポーツ公園は、現在の花咲スポーツ公園を上回る規模で、軟式野球場4面のほか球技場2面、テニスコート、パークゴルフ場、さらに体育館や武道館、プールなどを備えた複合施設建設構想である。すでにこの2年間で用地買収などに16億円余りが投入され着々と進んでいる。
実はこの東光スポーツ公園の計画が浮上したのは今から10年以上前のことである。日本経済に陰りが出始めた頃だが、まだまだ自治体も企業も財政に余裕があった。しかしその後、ご存知のように景気は大きく後退し企業倒産が相次ぎ、失業者は増大している。市の財政も極めて厳しいものとなっている。
スポーツ公園完成は平成32年の予定だが、少子化がさらに進んで人口は30万人を大きく割り込んでいる可能性が高い。当然、スポーツ人口も減っていることだろう。大きな施設は維持費も多額で、またかかった事業費の返済も迫られるのである。経済情勢の好転がそう簡単には望めそうもない実情での事業継続は、次の世代に大きな負担を残すばかりとの声が強い。
11月には旭川市長選が行われる。すでに現職の菅原氏と現道議の東氏が立候補を表明しているがこの東光スポーツ公園構想については菅原氏は「長年かけて実現を目指す」とし、東氏は「見直し」を記者会見等で表明している。
選挙は政策で争うものであり、そういった意味で面白い選挙になりそうだ。ぜひ候補者はこの大事業着工の是非を有権者に熱く解りやすく語ってもらいたい。
長野県知事選は「脱ダム」が争点であったが、旭川市長選は「東光スポーツ公園の継続か凍結か」が大きな争点となりそうだ。
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