旭川市忠和地区のHさん宅。屋根のラインがなかなか個性的だが、実はこれが悩みのたね。「この家の工事が始まったあとで部屋が足りないのではないかと考え、急きょ2階に部屋を追加したんです」。部屋数は増えたが、屋根の形が複雑になったために、屋根上に積もる雪も増えた。勾配が緩やかな面では、なかなか雪が落ちてこない。
積雪対策を怠ったわけではなかった。業者の薦め通りに、屋根裏にダクトをはわせて地熱を利用して雪を融かす装置を購入した。しかし効果はさっぱり。梁(はり)に鉄骨を使うなどして家の強度も高めてあったが、雪が積もるとふすまの開け閉めがしぶくなり、雪の重みが家を歪めているのは明らかだった。結局、Hさんは最も単純な方法で、つまり自らスコップを片手に屋根に上り、人力で雪を地上に落として家の負担を減らすしかなかった。
雪下ろしの回数は年に3〜4回。若くて体がよく動いたころは、それも気にならなかったが、10年前に病気をしてからは苦痛に感じるようになった。
業者に雪下ろしを頼んだこともある。しかし、業者も慈善事業で雪下ろしを請け負うわけではないから、できるだけ早く作業を終わらせ、1日のうちに1軒でも多くの家を回ろうとする。作業はどうしても乱暴になりがち。春になりHさんが雪がすっかり融けた屋根に上ってみると、スコップの残した傷跡がたくさん残っていた。少なからぬお金を払って家に傷を付けられたのでは、もう雪下ろしを頼む気にはなれない。
そんな状況で偶然目にしたのが、本誌に掲載された新屋根融雪システムユーザーの体験談。過去に本誌が紹介したのと同じ悩みを抱えていたHさんは、日本セプロの担当者から詳しい説明を受けたうえで、新屋根融雪システムを設置することを決意した。
「業者に1回雪下ろしを頼む金額と比べれば、新屋根融雪システムに投じるお金はかなり多いです。でも、長い目でみれば業者のほうが高くつきます。なによりも新融雪システムなら家を傷めないことが大きいですね」と、Hさんは理由を説明する。
工事はこの8月に行われた。融雪設備の工事が夏というのも季節に合わないような気がするが、冬は大雪にうんざりして注文を出したとしても、施工まで1カ月以上待たなければならないことがある。この時期なら比較的スピーディーな工事が可能で、必ずやってくる次の降雪期に余裕をもって対応できる。
Hさん宅の背後には東海大の丘が控えている。冬には湿気を含んだ風がこの丘にあたり、ふもとに大量の雪を降らせる。旭川市の中心部や東部よりも、明らかに降雪量は多い。Hさんによれば、周囲が農地だったころは風が雪を吹き飛ばしてくれたが、宅地化が進んだいまは風が弱くなった分、雪の量も増えたという。いわば「旭川の豪雪地帯」に暮らすHさん。新屋根融雪システムの導入で次の冬は快適に暮らせるはずだ。 |