旭川市内で家を新築することになり、状況は一変した。家の前の土地は駐車場にして賃貸している。すぐ裏には賃貸マンションの駐車場。いずれもたくさんの車が並んでいるから、雪を落とすわけにはいかない。仮に雪捨てのための場所があったとしても、危険と労力を考えれば自分で屋根に登って雪下ろしをするのは不可能だった。このため、新居は屋根が中央の排水口に向かって緩やかに傾いている無落雪建築とした。雪は少しずつ融けながら水になって排水口から流れ出すはずだった。
現実には、雪はそれほど「お行儀」のいいものではない。屋根のへり近くに積もった雪は、風などの作用で大きな雪庇を形成して空中に張り出す。「そのうちに落ちてくるんじゃないか」。屋根を見上げながらNさんが感じた心配は、やがて現実のものに。雪庇が裏の駐車場に停めてあった車の上に落ちたのだ。運良く雪は少しずつ落ちたため損害はなかったが、いつ車のボディが歪んでもおかしくない状況だった。
なにかいい落雪対策はないかと情報を集めはじめたNさんが、たまたま目にしたのが本誌の記事。同じような悩みを抱えていた人が次々と日本セプロの新融雪システムを導入して快適な冬を迎えているのを知り、早速同社に連絡。担当者の詳しい説明を聞いたうえで導入を決めた。工事は3月末に行われ、雪を落とせない方向の屋根のへりだけに、電熱ケーブルが敷設された。外側に向かって傾いている屋根はごく一部なので、必要なのは屋根の「峰」の付近で外側に向かう雪と排水口に向かう雪を断ち切ることだけ。電熱ケーブルも構成は比較的単純なもので済んだ。本格稼動は次の冬が来てからだが、これならいきなりの大雪にもゆとりを持って対応できる。
近所には新築工事のさい屋根裏に融雪装置を埋め込んだ家があるが、ユーザーが期待したような性能は発揮していないという。屋根のトタン板の上に専用の固定器具で電熱ケーブルを設置する新融雪システムなら、トタン板をはがさなくても施工でき、状況に応じたシステム構成の変更も容易だ。
冬はまだまだ先だが、この時期、ストーブの品定めを始める人が多いのも事実。この前の冬までの雪の悩みを思い出して、早めに屋外の雪対策を講じてほしい。