Sさんは、数年前に旭川市内の自宅を改築した。「家一軒を新築できるくらいのお金をかけて、全面的に手を加えました」。屋根は雨が流れ落ちる角度(水勾配)だけがついた平屋根。現在、無落雪建築の屋根といえば家の中心線に向けて緩やかな傾斜がついているものが多いが、当時はまだ「中途半端に傾いている屋根には雪が残る。平らな屋根のほうが、風が雪を飛ばしてくれるのであまり積もらない」という考えが残っていた。
それから数年が経過したいま、Sさんにはわかったことがふたつある。まず、冬の強い風も期待したほどには屋根の雪を吹き飛ばしてくれないということ、第2に、風のために形成された大きな雪庇がドサッと落ちてくるということだ。
Sさん宅と隣家との境界線との間隔は、わずか数十センチ。運の悪いことに、境界線の向こう側には隣人が自動車を何台も停めている。つまり、重力に任せて雪庇を地面に落とすことは許されない状況だった。
このためSさんはしばしば、はしごを使って屋根に登り、スコップで上から雪庇に切れ目を入れて自分の敷地内に落とした。しかし、雪庇が張り出している屋根に登るのは容易ではない。2階の屋根の上で足を滑らせて1階の屋根に落下したこともある。幸いケガはなかったが、これでは雪庇対策のためにいつか命を落とすかもしれない。Sさんは真剣に屋根融雪装置の導入を考えはじめた。
「まず屋根のトタン板をすべてはがします。電熱線を埋め込んで、またトタン板をかぶせます。こうすれば雪は簡単に融けて……」
Sさんが最初に連絡した業者は自信を持って説明した。しかし、張り替えてからまだ数年しか経っていないトタン板をはがす気にはなれなかった。設備と工事が大がかりになる分、コストが割高である点も気になった。
屋根融雪をあきらめかけたときにSさんが読んだのが本誌の記事。日本セプロの新屋根融雪システムなら、屋根のトタン板の上から専用工具で電熱ケーブルを固定するから、工期は短くコスト面でも有利。融雪を必要としている箇所をピンポイントで暖めることができ、必要に応じてシステム構成を調整するのも比較的容易……。数々の特徴に注目したSさんは日本セプロに連絡し、担当者から詳細な説明を受けて導入を決めた。近く工事が行われる予定だ。
雪が積もれば、新融雪システムがすぐに真価を発揮する。屋内に設けられたスイッチを操作するだけで雪は融けるから、もう隣家に迷惑をかけるのではないかと心配する必要も、屋根に登って足を滑らせる危険もなくなる。
冬の暮らしがすっかり変わる日本セプロの新屋根融雪システム。本格的な降雪期には雪の問題に直面している人からの注文が殺到することから、注文から工事までの期間がやや延びる傾向にある。早め早めの工事で、ゆとりをもって冬を迎えたい。