いわゆる熟年離婚と離婚にともなう財産分与について
離婚にあたって妻が夫の将来受給するであろう退職金を財産分与の対象とすることができるかどうかについて検討してみましょう。

 私達夫婦は結婚して28年になりますが、2年後に夫が退職しますし、子育ても終わり、これまでわがままで協調性のない夫に我慢して生活していましたが、これからは私なりの人生を歩みたいと思い離婚を考えています。夫にはおそらく寝耳に水の話かもしれませんが、このような理由で離婚できるのかどうか、また、財産分与として夫が受け取るであろう退職金の半分でももらうことができるのかどうかを知りたいのですが。

 俗に熟年夫婦の離婚と言われている問題ですが、単に性格が不一致であるとか、愛情がないからということだけでは、仮に訴訟になったとしても難しい側面があるでしょう。
 性格の不一致とか愛情喪失が原因で努力しても夫婦関係が修復不可能にまで破綻しているとなって民法が規定している婚姻を継続し難い重大な事由にあたるとされるはずです。
 単に性格の不一致や愛情がないことを理由とするだけでは離婚原因としては難しいことだと思います。
 より具体的には、訴訟になった場合には、夫にはこういう非があり、そのため夫婦関係が修復不能なほど壊れてしまったということを相当細かく主張・立証しなければなりません。

 退職金が財産分与の対象になるかとの質問ですが、既に支払われている退職金については妻の寄与の割合を3分の1ないし2分の1として精算させる例が多いでしょう。
 問題は離婚時に退職金が支払われていない場合ですが、将来支給される退職金を財産分与の対象として支払を命じた裁判例もあります。
 財産分与は精算的要素のほかに扶養的要素、慰謝料的要素も含まれ、その夫婦の個別事情を勘案し、将来支給されるであろう退職金を財産分与の対象とすることも可能だと思います。

 仮に財産分与として請求できるとして、一体何割ぐらいの請求が可能なのでしょうか。

富・成 清算割合については財産形成の寄与度と呼ばれているもので、妻が家事以外に農業、店舗経営等自営の家業に協力していた場合、共稼ぎ夫婦の場合、専業主婦の場合等で区々に判断されます。共稼ぎや妻が夫の事業に協力している場合は妻の寄与度も増えるわけで、原則2分の1との考えが大勢だと思います。専業主婦の場合、寄与度は3ないし4割程度に評価されることが多かったのですが、次第に家事労働を高く評価するようになってきており、特別の事情がない限り2分の1の寄与度を認める裁判例(ただし欠席判決)も出てきています。ちなみに、夫が受給する年金についても財産分与の対象とした判例があることも注目すべきでしょうが、年金が財産分与の対象となると断言するにはかなりの躊躇を覚えます。