Q 私たち夫婦は離婚の合意はできているのですが、5歳になる男児の親権者をどちらにするかでもめており、協議離婚の届け出自体ができず困惑しています。手続的にどのような方法をとったらよいのでしょうか。
成 子供さんの親権の帰属に争いが生じた場合、慰謝料や財産分与といった金銭の給付よりも一層困難な問題となることが多々あります。基本的には子供さんの福祉・幸福を第一に考えましょうということになるのでしょうが、夫婦双方に感情のもつれ、あるいは、子供さんから見ると祖父母の子供への感情、さらには、離婚給付をめぐる争いの取引材料として親権の主張をしてくるということも見られます。
富 まず、家庭裁判所に調停の申立をした上で、親権者の指定についての合意を得られるかどうかを見極めなければなりません。調停でも親権の帰属について合意ができなければ訴訟に移行せざるを得ません。調停手続きを全部不成立にして訴訟手続きに委ねるわけです。
かつては離婚についてのみ調停を成立させ、親権者の指定は調停不成立として審判に移行するという手続きがとられたこともあったようです。
しかし、最近家庭裁判所はこのような処理には慎重です。離婚はかまわないが親権は譲れないという両者が対立する事案は、親権者指定について審判が出てもすんなり確定するとは思われませんし、婚姻関係に無い夫婦の共同親権に服するという異常事態にもなるでしょう。
成 調停を全部不成立にして訴訟手続きに委ねる方法についても、親権の帰属をめぐる争いを離婚の可否を決定する訴訟手続きで処理することになるわけで、この方法が極めて優れたものであるとは言い難い側面もあるでしょうが、私たちがとる方法としては、調停を全部不成立にした上で訴訟手続きに委ねるというのが一般的ではないかと思います。
富 訴訟になった場合、私たち弁護士は、子供の福祉という観点から親権者として父母のいずれが的確であるかを判断する事情を主張していくわけです。
その具体的事情としては、父母側の事情として子供に対する愛情、子供の監護に対する意欲の程度、これまでの父母双方の子に対する監護の態度、生活能力、住居・近隣の教育環境、父母の心身の健全性、父母に替わる監護補助者(祖父母ら)の有無などが考えられます。
もう一つ重要な要素として、子供の現状の事実状態を尊重しようとする要請がみられます。監護の現状に特別問題が無い限り、現実に監護・養育している父あるいは母を優先させるという考え方です。但し、この考え方については、事実上子供を実力によって奪い合う結果を追認しかねないので批判もあるところです。また、子供さんの意思を尊重することも必要であり、問題はいくつぐらいの子供であればその意思を尊重できるかということですが、概ね10歳以上の子については意思能力があると考えていいのではないでしょうか。
このように親権の帰属はいろいろな要素を判断して決せられることを理解してください。