|
Q 当社の従業員が、勤務中に交通事故を起こしたのですが、事故そのものに当社の従業員の過失があるのか定かではないことに加え、相手方本人やその代理人という人物はどうやら暴力団関係者らしく、会社に突然押し掛けて「社長を出せ、誠意を見せろ」などと言いながら、次から次とどう考えても法外な要求をつきつけてきて、ほとほと困り果てているのです。
成 暴力団やその関係者らが、今回のご相談のように交通事故の示談等の民事事件に関し、事件関係者に暴行、脅迫、迷惑行為の行使をほのめかしながら、社会通念上容認できる限度を超えた不当な要求行為を行うことを民事介入暴力と呼んでいます。
会社に押し掛けて来る相手方が暴力団構成員かどうかにかかわりなく、その要求等の行為そのものが不当な要求行為であれば、民事介入暴力として毅然として対処することが、後々にとっても重要です。不当な要求行為をするものたちは、弱いものに強く、強いものに弱いものですから、ひとたび不当な要求に応じれば、ますますその要求がエスカレートする危険性があります。
富 具体的行動として、旭川中央警察署内に暴力追放センター(Tel.26―5982)があります。ここは、具体的な対処方法など暴力団絡みの案件について適切なアドバイスをしてくれるはずです。また、ご相談の交通事故については、過失の有無、過失があるとしても、休業損害、慰謝料等の算定の問題等が派生してきますから、弁護士に事件を委任することが望ましいでしょう。旭川弁護士会には、民事介入暴力対策委員がいますから、対応等を相談するといいでしょう。
成 会社での対応ですが、まず、相手方が誰であるのか、そして、その立場は本人なのか代理人なのかを確認してください。できれば、名刺などをもらうとよいでしょう。次に、相手方の要件が何であるかを確認してください。相手が「社長を出せ」ということに固執する理由は、「社長を出さないのは誠意がない証拠だ」と難詰したり、困惑させる根拠にすり替える手口ですから、「担当者は私です」と冷静に対処し、ときには「誰を出すかについてあなたに指図されるいわれはありません」と言うべきときもあるでしょう。「社長は忙しいから会えない」という発言は、相手に「忙しいとは何だ、誠意がない証拠だ」との言質を与えかねないので避けるべきでしょうね。
富 彼らは、言った言わないの議論が得意ですから、会社側の対応も必ず、一人ではなく、二人で行なってください。そして、彼らが帰ったら、直ちに、そのやり取りをメモに残してください。先の暴追センターへの相談、民暴委員の弁護士への相談のときにもこのメモの存在が非常に役立つのです。
それに、できれば録音も大事になります。録音は、仮に、刑事事件に発展したときの証拠として有用ですし、また、言った言わないの論争を封じ込めるためにも重要なのです。録音の方法ですが、何も相手に隠れて行なう必要はありません。隠れて録音して、それが途中で発覚するよりも、最初から「あなたの話を正しく社内に伝え、社内で検討するためにもテープをとらせていただきます」と言って目の前にテープレコーダーを置いてかまいません。逆に、テープの存在により相手の語気のトーンも下がることが期待できますしね。対応は、丁重に、しかし、弱みをみせず毅然としてです。彼らも警察に逮捕されたりして刑事事件に発展することが最もこわいのですから。
|