離婚時の財産分与
離婚にともなう財産分与、今回は特に、財産分与の割合と財産分与の対象に関して退職金、負債について検討してみます。

 夫53歳、私51歳の夫婦ですが、長年にわたって冷え切った夫婦関係が続き、子供たちもそれぞれ自分で生活できる目処が立ち、子供たちの了解のもと、夫と離婚しようと考えています。私は、専業主婦であり、夫は公務員です。めぼしい財産といえるものはさしてないのですが、夫の退職金や家のローンについてご相談したいのです。

 夫婦間の清算割合について最近の実務の傾向は専業主婦の場合、寄与度は3割ないし4割程度に評価されることが多かったのですが、次第に家事労働を高く評価する傾向になってきており、5割という寄与度を認める裁判例もでてきています。

 共稼ぎや妻が夫の事業に協力している場合は妻の寄与度を5割と考え、特段の事情があればそれを加減するというのが大勢でしょうね。

 夫は公務員ですが、今、退職すると約2000万円前後の退職金はあると思うのですが、夫が言うには、退職金はみんな俺のものだといいます。退職金はどうなのでしょうか。

 退職金で既に受領しているもの、あるいは、支給が決定しているものについては財産分与の対象になることに争いはありません。従前、将来の退職金については、退職時期、会社の存続、経営状況等不確定な要素が多いとして財産分与の対象とすることに消極的だったように思えます。

 しかし、ご主人が53歳であり、今退職したと仮定しても相当額の退職金が見込まれること、殊に、公務員であり退職金支給の蓋然性が高いことからして、積極的に考えるべき事案だと思いますね。

 最近では、退職金支給の蓋然性が高い場合には、退職金が財産分与の対象になるかどうかという議論から一歩進み、どのような計算方法で分与するかという議論が多いように思えますね。

 退職金を財産分与とした場合の金額の算出ですが、1.支給されるであろう退職金を財産分与の金額を判断するにあたっての一事情とするとの考え方、2.離婚時点で退職した場合に支給されたであろう退職金額を財産分与とする考え方、3.将来支給されることを条件に財産分与の対象とする考え方、4.将来支給される蓋然性が高い場合に、将来の退職金額をライプニッツ係数を用いて現在の支給額にひき直して財産分与の対象とする考え方などがあり、裁判例として4.の考え方を採用し、6年後の退職金を現在額にひき直して財産分与額を算出した例もあります。

 自宅には、まだ、約500万円のローンが残っているのですが、このローンはどうなるのでしょう。

 まず、注意しなければならないのは、金融機関に対する借り入れ名義が、ご主人であり、あなたが連帯保証人あるいはご主人とともに支払をする債務者になっている場合、夫婦で住宅ローンはご主人が支払うとの合意をしても、それは、債権者である金融機関には対抗できません。

 ですから、新たな連帯保証人を追加するなどしたうえであなたが住宅ローンの債務から抜け出るための金融機関の合意を得なければなりません。

 また、住宅ローンは夫婦の共同財産の形成にともなう債務ですから、ローンのついている土地や家屋の評価にあたり、ローンの残債を控除する必要があります。

 そのほか、いわゆる熟年夫婦の離婚の場合、年金、生命保険金、保険金の返戻金等の問題もあります。

 長年夫婦であった方の離婚には幼い子供さんがおられる夫婦の離婚にみられる親権、養育費の問題とは違った財産の清算の問題がつきまといますね。

 当事者で話し合うことも必要ですが、やはり専門家に相談することも大切です。