妻の借金夫の義務
 妻が、夫に黙ってサラ金から借金し、電化製品を購入した。夫にも支払い責任があるのか。

妻の借金のことで相談にきました。妻は、私に内緒で、信販会社に約150万円、サラ金に約300万円もの借金をつくっていました。到底、私としても妻の借金を肩代わりすることなどできません。私が信販会社やサラ金の保証人になったということもなく、妻も私の名前を勝手に使って私を保証人にしたことはないと言っています。

ところが、M信販から、「奥さんは、当社のローンを利用して合計約40万円の電化製品を購入しているから、夫である私にも支払責任がある」と言ってきました。私にすれば、保証人でもないし、そんな馬鹿なという思いなのですが。
結論から言うと、あなたにもその購入した電化製品の支払義務が生じる可能性があるというべきでしょうね。夫婦の一方である奥さんが日常の家事に関して第三者から物品を購入した場合、民法761条の規定により、他の一方である夫も購入という売買契約の代金支払債務について連帯債務を負うとされています。仮に、その電化製品が日常の家事の範囲内であれば、夫であるあなたも代金を支払うべき義務が生じますね。
奥さんが購入されたという電化製品は何でしょうか。
口を濁すのですが、妻が言うには、冷蔵庫、テレビ、ビデオ機器なんかだというのですが。
何が日常家事の範囲内に属する物品の購入であるかは、そのご夫婦の収入、使用目的、購入の必要性などによって、区々であり、一概にこうであるとは言えないでしょう。しかし、例えば、冷蔵庫、洗濯機、テレビなどは、一般の家庭にも普及しており、日常家事の範囲内の購入とみられる可能性があるのではないでしょうか。

他方、高額なビデオ機器の場合、あるいは、同じテレビでも高額な液晶テレビなどはその夫婦の生活からして、直ちに日常家事であると断定できない要素も出てくるでしょうね。

裁判例でも、妻が夫に内緒で、子供のために50万円前後の学習用教材をクレジットで購入した場合について夫の支払義務を否定した例がある一方、同じような英語教材、教育機器について日常家事の範囲内であるとして夫の支払義務を肯定したものもあり、微妙な問題といえるでしょう。
そうですね、単に高額かどうかだけの判断だけではなく、そもそも、奥さんが購入したそれらの電化製品がお宅で使用されているのでしょうか。

もし、使用されているのでしたら、夫であるあなたの責任を否定するのは難しいのでは、というのが私の考えです。

悪質というと語弊があるかもしれませんが、最近、高額な電化製品を購入し、即座に転売するなどして換金する例もあるのです。もし、奥さんがこのようなことをしていると、仮に、自己破産となっても免責という利益を受けることが困難にもなるのです。もう一度、何を購入したのかきちんと聞いてみてください。
うーん、実は、この件で離婚話しも出ているのですが、離婚した場合、支払義務はなくなりますか。
仮にあなたに日常家事の支払義務が発生すると、離婚しようが、別居しようが消えることはないと考えるべきですね。

離婚問題もさることながら、個人の多重債務は、自己破産、特定調停、個人の民事再生等いくつかの解決方法があり、まず、これらの制度の利用による解決をご夫婦でお考えになってはいかがでしょうか。そのうえであなたの責任が生じる可能性のある日常家事の問題についても弁護士に委任するなどしてM信販と和解交渉してもらうのも解決策だと思いますよ。