従業員の自己破産
破産宣告を受けた従業員に対して会社はどのように対応すべきか。
Q  私の会社の従業員がサラ金業者などから多額の借入れを行い、その取り立ての電話が頻繁に会社に来ています。
給料では到底支払いできる金額ではなく、従業員本人は弁護士に委任をし、自己破産の申立てをするとのことですが、会社としてはどのように対応したらいいでしょうか。
率直に言って、この従業員を解雇するといったことは可能なのでしょうか。
確かに会社の従業員が自己破産を受けるというケースはよくあるようですね。
結論から申し上げると、従業員に多額の債務があるとか、破産宣告を受けるといった事情で、普通解雇や懲戒解雇はできないでしょう。
債務が多いことそのものが原因で会社の業務に支障を与えるとは言えませんし、破産宣告を受けることは会社外の問題ですから、解雇うんぬんはできないと考えるべきです。
ただし、多重債務が原因で、その従業員が会社を無断で欠勤する、あるいは会社の金銭を流用するなどといったことがあれば、当然懲戒等の問題に発展するでしょう。
また、通常の個人破産事件は同時廃止となり、居住の制限等の拘束もありませんから、会社の業務に支障を与えるといったこともないはずです。
Q  でも、サラ金業者と思われる者から頻繁に会社に電話が来て困っているのですが。
確かに会社が迷惑を受けているといった側面は否定できないでしょうが、それはその従業員の問題というより督促を行う業者側の問題でしょう。
会社としても、業務に支障がある場合は、当該業者に対して、業務に支障を及ぼすような電話は遠慮されたい旨の毅然とした対応が必要でしょうし、場合によっては、当該電話を録音するなど証拠を保全するなどして行き過ぎた督促に対しては刑事上の問題になりかねない旨の警告書を発することも検討してもいいでしょう。
Q  裁判所から給料債権の差押が来た場合はどうしたらよいのでしょうか。
淡々と裁判所の命令に従うべきであり、給料債権の差押が解雇の事由にはならないと考えるべきです。
平成17年1月1日から新しい破産法が施行され、差押に関する規定も変わりました。
これまでは破産手続開始決定後、免責が確定するまでの期間、給料債権の差押が可能であったのですが、新しい破産法では、破産手続きの開始決定があった場合には、給料の差押などの手続はすることができないと規定され、差押が失効するとされています。ですから新破産法の施行にともない給料債権の問題が発生する頻度は少なくなると考えられます。
その従業員が、例えば経理や会計の部署で直接お金を扱う立場にある場合には、配置換え等は許容されると思います。
破産宣告を受けるというのは確かに大きなマイナスイメージがありますが、法的な制約や不利益というのはさほど多いものではありません。
会社としても当該従業員の経済的な立ち直りを支援するというスタンスが望ましいのではないでしょうか。