借家の解約

今回は、賃貸している借家の解約や立ち退きに関して検討しましょう。

私は、街中に2店舗が入っている建物を所有しています。ある程度老朽化してきたし、息子たちのために私が元気なうちに建て替えようと考えていたのですが、2店舗のうちの10年ほど前から賃貸している酒屋さんが明け渡しには応じられないと言うのです。
 そこそこお客さんもついているし、近所には同じような賃料の物件もないから、明け渡しには応じられないというのです。せっかく融資のめどもつき、雪解けの頃には工事にかかりたいと思っていたのにどうしたものかと困惑しています。
なかなかあなたの思惑通りに事を運ぶのは困難かもしれませんね。
 借地借家法は平成4年に大きく改正され、問題の借家契約が旧借家法の適用があるのか、新たな借地借家法の適用があるのかはっきりしませんが、更新を拒絶する、あるいは解約の申し入れをする場合には正当事由が必要であるとされています。新しい借地借家法ではこの正当事由が明文化されて具体的基準が示されています。
正当事由の判断基準として賃貸人が建物の使用を必要とする事情と、賃借人が建物の使用を必要とする事情を比較し、どちらに必要性・合理性があるのか賃借人に賃料の不払いなどの不履行がこれまでにあったかどうか、賃料の額が適正かどうかなどのこれまでの経過賃借人が契約に定められた目的に従って建物を使用しているのか、使用方法に問題はないのか建物が老朽化しているというがその程度はどのようなものか、補修可能か、可能としてその費用はどのくらいかかるのか立ち退き料の提供があるのか、あるとしてその金額はどの程度なのかなどです。
この立ち退き料がよく争点になるのですが、借地借家法では立ち退き料の提供に関し、「(前記ないしに加え)賃借人が建物の明け渡しの条件としてまたは明け渡しと引き換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申し出をした場合の申し出を考慮し正当事由があると認められる場合に出なければ(解約は)することができない」と規定しています。
 店舗という営業用建物の場合には、居住用の建物に比べて立ち退き料の提供が正当事由を補完する機能より大きくなる可能性があると言っていいかと思います。
 ご質問の場合、老朽化の程度にもよりますが、老朽化したアパートの一室の明け渡しよりも難しい問題があると言えるでしょうし、仮に、明け渡しに応じるとしても立ち退き料の問題は避けて通れないように思えます。
では立ち退き料の算出はどうするのでしょうか。
立ち退き料の算定に当たって賃貸人と賃借人の主張が対立する例がよく見られますが、算定の要素として引越し費用、移転先取得に要する費用などの移転費用立ち退きで消滅する借家権の補償営業権、営業利益償などです。
 借家権の補償は、土地や建物の価格に一定の割合を乗じて行うのですが、まず土地や建物の価格の算定それ自体に争いが生じたりする例が見られます。円満な話し合いが望まれますが、平行線の場合には簡易裁判所の調停手続きを利用するのもひとつの解決手段として有効でしょう。