| Q★ | 実は、私は妻以外の女性と長らく同棲しており、妻との別居期間も8年に及びます。そろそろ妻と離婚をしたいと思っていますが、なかなか離婚に応じてもらえません。このように夫婦の一方が離婚を望んでいても他方が離婚に反対している場合、どのような方法により離婚することができるのでしょうか。 ★ |
| 成 | 夫婦で離婚の合意のもとに離婚届を役場に出せば協議離婚が成立しますが、ご質問の場合のように夫婦の一方が反対している場合は、協議離婚はできないことになります。 ★ |
| | この場合、離婚を求める一方はいきなり裁判で離婚を求めることはできず、まず家庭裁判所へ離婚調停を申し立てなければなりません。この調停には、民間人から選ばれた調停委員が参加し、調停委員は双方の言い分を聞き、助言、説得等を行いながら、双方の妥協点を探します。 ★ |
| | 調停で双方が離婚に合意すれば調停で離婚が成立します(調停離婚)。調停離婚はあくまで当事者の合意を基礎とするものですから、夫婦の一方が離婚に反対すれば、離婚はできません。 ★ |
| | また、離婚の合意は成立しないが、調停の結果、離婚を認めるのが適当だと判断される場合には、裁判所が離婚を認める審判をすることもできます。 ★ |
| | 例えば、夫婦間に離婚について反対はないが、財産分与や親権などをめぐって意見の対立があり、調停が成立しない場合等に審判することがあります。ご質問の場合のように、そもそも離婚について相手方が反対している場合は審判離婚は成立しないでしょう。 ★ |
| | そこで、離婚を望む一方は最終的には裁判で離婚判決を求めることになります(裁判離婚)。しかし、裁判離婚は法の定める一定の離婚原因がなければ認められません。 ★ |
| Q | 裁判離婚の原因となるものにはどのようなものがありますか。 ★ |
| 富 | その点については民法に規定があります。民法770条1項には次の5つの事由を離婚原因として定めています。 ★ |
| | 1.配偶者に不貞な行為があったとき2.配偶者から悪意で遺棄されたとき3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき5.その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき。 ★ |
| | ただ、注意しなければならないのは民法770条2項が、裁判所は1.〜4.の事由があるときでも、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは離婚の請求を棄却することができると規定しているので、結局離婚が認められるかどうかは、最終的には裁判所の判断に委ねられている点です。 ★ |
| Q | 私は妻と8年という長い期間別居しているのですから5.のその他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして離婚することができるのではないでしょうか。 ★ |
| 成 | あなたのようないわゆる有責配偶者の離婚請求は容易には認められません。そのような請求を認めたのでは妻は踏んだり蹴ったりであって、法はそのような不徳義、勝手気ままを許すものではないからです。 ★ |
| | ただ、昭和62年の最高裁の判決は、1.夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、2.その間に未成熟の子が存在しない場合には、3.相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれる等、離婚を容認することが著しく社会に反すると言えるような特段の事情が認められない限り、有責配偶者からの請求であっても、離婚が認められことがあるとしました。 ★ |
| | この判決以降の裁判例をみると、離婚請求が認められる場合の別居期間は徐々に短縮されており、10年程度で「相当の長期間」とされています。 ★ |
| 富 | あなたのように別居8年のケースでも、夫が妻と子に対する別居後の生活費を負担し、財産分与について誠意のある提案(1億円を上回る)をしているというような場合は「相当の期間」に当たりうるとの判決もあります。 ★ |
| | 結局、離婚請求が認められるかどうかは、1.別居期間の長短(長ければ認められやすい)2.未成熟子の存否(未成熟子がいると認められにくい)3.離婚の相手方を苛酷な状態に置くかどうか(置くと認められにくい)等、諸般の事情を総合的に考えるということになります。 |