他人の債務の保証人になる場合の注意点

保証については最近法律改正がなされましたので、改正部分を踏まえ、他人の債務の保証をする場合の注意点について検討します。

Q1「金融機関から100万円借りたいので保証人になってもらえないか」と友人から頼まれました。友人は「一切あなたには迷惑をかけない。念書を入れてもよい」と言っていますが、どうしたらよいでしょうか。

保証人の責任は債権者と保証人との保証契約によって発生します。従って保証人と主たる債務者との間の内部事情(保証人になることを頼まれたかどうか、保証人の責任について主債務者が保証人にどのように説明したかなど)は保証契約の成立、内容には影響を及ぼしません。

 本件で、あなたの友人があなたに迷惑は掛けないと言っていることとか、その旨の念書があるということは保証人と主債務者との内部事情に過ぎず、保証契約の成立、内容には何の影響もありません。後になって「友人の念書が入っている」と金融機関に言っても、全く通用しません。この点に十分注意して保証契約を結ぶようにして下さい。
Q2先日、息子が知人から借金する際、その知人に対し「私が息子の借金の保証をします。」と言いました。このとき、保証契約書など一切の書面を交わしていません。このような場合でも、私は当然に保証責任を負うのでしょうか。
この度の民法改正までは、保証契約を口頭で結んでも保証契約は有効に成立しました。
 しかし、保証は親族関係や友人関係という気安さ、断りづらさから安易に引き受けてしまうことが多く、後で保証人が債権者から高額の債務を請求されて困惑するということが多々ありました。
 そこで、平成16年の民法改正では、軽々しく保証契約を成立させないよう保証契約は書面でしなければその効力を生じないという規定を新設しました(この「書面」はコンピューター上の電磁的記録によってされたものでもよい)。
Q3友人に頼まれて商工ローンからの借入について極度額500万円、保証期間5年間の根保証人となりました。私が保証人となったとき、友人は業者から100万円を受け取っていたので、私としては100万円の保証で大丈夫だろうと思っていたのです。
 最近、その友人は破産しましたが、友人はいつの間にか1000万円も借りており、業者は私に「500万円支払え」と言ってきています。しかし、友人が追加融資を受けた時には私には何の連絡もなく、今回請求がくるまで友人がこんなに借りているとは、全く知りませんでした。それでも私は500万円の保証責任があるのでしょうか。
中小事業者向けの運転資金の融資を目的とするいわゆる「商工ローン」において、高金利で過剰な融資がなされ、その債務について根保証契約を結んだ保証人に対して返済を強引に求めるというトラブルが1990年代に多発するようになりました。根保証契約とは保証契約書に記載された極度額(限度額のこと)の限度まで保証債務を負うという特殊な保証契約です。
 そこで、平成11年12月に「貸金業規制法」が改正され、貸金業者に対し、保証契約に先立って保証人に保証契約の内容を説明する書面を交付する義務や、主債務者に対する追加融資をしたときはその契約内容を明らかにする書面を保証人に交付する義務を課すなどの保証人保護の規定が設けられました。
 ご質問の場合、商工ローン業者は追加融資を行ったことをあなたに書面で告知していません。追加融資の時期が改正法施行後の平成12年6月以降であれば改正法が適用され、貸金業法違反となります。この場合、法の要求する告知義務を果たしていない債権者に追加融資分の請求を認めるのは信義則に反すると考えられますので、あなたは追加融資分の支払を免れる可能性が高いでしょう。
根保証は一度の契約で何回もの取引をまとめて保証するので債権者には大変便利ですが、保証人にはそれだけ長期に大きな負担が課されることになります。そこで平成16年民法改正では個人のする貸金債務等の根保証については次のように責任を限定しました。
 まず、極度額の定めのない場合には保証額が無限定になり保証人に酷となるので根保証契約は無効となるとしました。
 次に、元本確定期日の規定を置くことによって一定期間内に責任が限定されるようにしました。確定期日を契約で定めている場合であれば最長5年以内、定めていなければ3年で元本が確定し、その時点の元本金額に保証責任が限定されるとしました。
 さらに、主債務者または保証人の死亡を元本確定事由の一つとしました。これによって、保証人の相続人は、保証人の死亡時に存在し確定した主債務についてのみ保証債務を相続すればよいことになりました。