暴力団組員からの不当な要求にどう対応するか

近所に住む暴力団組員から子供のいたずらで車を傷付けられたと言われた場合、
どうしたらよいでしょうか。

近所のアパートに付近住民も遠ざけている暴力団組員Aが住んでいるのですが、そのAから私の小学校3年生の長男がアパート前の駐車場に駐車していたA所有の高級車に石で傷を付けたから誠意を見せろと言ってきているのですが。

販売した商品へのクレーム、医療行為などのサービスの提供への不満、あるいは交通事故等に便乗する形で暴力団員やその周辺者らが不当な要求をする例がみられますが、どのような場合でもまず、事実関係を確認する必要がありますね。
  事実関係を確認する場合、いつ、誰が、どのような方法で、何に対して、どうしたのか、を確認していくのが基本です。
  双方からこれらを意識して事実関係を聞く、また、傷付けられたという車両の損傷状況を確認するといったことをされましたか。
ええ、息子に聞いたところ、当時、Aの住むアパートの駐車場付近で自転車に乗って友人らと遊んでいたところ、駐車中の車両に自転車のハンドルが接触したかもしれないと思い自転車から降りて車両のドア付近に傷が付いていないかどうかを確認したそうですが、そのときには、特別傷も付いていないようで安心してまた友人らと遊んでいたそうです。どうもAは自転車から降りて車両の傷の有無を確認していた息子を見かけたようですね。
  私もAが主張する傷を見せてもらったのですが、確かに引っかいたような傷がついていますが、いつ、どのような原因で付いた傷なのかはっきりしません。
Aはその傷に関してどのような要求をしているのですか。
困ったことに最初Aはどうしてくれる、誠意を見せてほしい、というだけでしたが、その後、Aの代理人と名乗るBが出て来て、傷が付いた部分だけの部分塗装ではムラが出るから全塗装でなければならない、全塗装に要する間の代車費用を出せ、さらには、その日、Aには大事な商談があったのに傷が付いた車なんかに乗って商談に出かけたら足元をみられてしまうから商談にも行けず、結局、まとまるはずの商談も破談になったから得られたはずの利益300万円の補償も請求させてもらうかもしれない、慰謝料も要求する、と次第にエスカレートしてきているのです。
不当要求する者達の中には露骨に金銭の要求をすると恐喝になると警戒してか誠意を見せろ、と繰り返す者もいます。このような場合には、具体的に誠意の内容を問うべきでしょう。その場合、相手は「お前が考えろ」と言うかもしれませんが、誠意云々で押し問答になったときなどは、既に、こうしてお会いする、お話しをするなどして誠意は尽くしている、と相手のペースに乗らないことも肝心です。代理人の件ですが、真実代理人か否か不明ですから、委任状を見せてくれ、できれば印鑑証明書つきの委任状を示してほしい、という対応も大事ですね。
私たち民暴案件に関与する弁護士はよく代理人の件で経験するのですが、通常の交通事故などでも暴力団組員の周辺者、事件屋、えせ同和などが代理人と称して示談等に関与してくる例を経験しています。このような場合には、速やかに明るいところ、つまり、簡易裁判所の調停や訴訟の場での解決を心がけるようにしています。
  調停の場合、裁判所の許可がなければ弁護士等以外は代理人になれませんし、地裁の訴訟では代理人は弁護士しかなれませんからまず明るいところに引っ張り出して交通整理するのです。
損害賠償の場合、相当因果関係の範囲内の損害を賠償するというのが自明のこととされています。全塗装か部分塗装かは別として塗装で済む修理で商談が流れたから得られるはずであった逸失利益を支払えというのは論外でしょうね。
  また、よほどの事情がない限り全塗装の要求も是認されないでしょう。物損に関して慰謝料というのも裁判例の潮流からは受入れられませんね。
  それよりも何よりも、まず、息子さんが傷を付けた原因行為を行ったのか、そのためにあなたが監督義務者として責任を負う事案なのかが大きなポイントでしょう。
  簡裁での調停はご本人で申立てして調停を進められる方もいますし、また、場合によっては民暴担当の弁護士に相談してその弁護士から責任原因が不明であり賠償には応じる義務はないなどの通知書を送付してもらう、弁護士に委任して調停の申立あるいは債務不存在の訴訟を提起するなどの手段もお考えになってはいかがでしょう。