旭川から発信する情報コンテナ月刊北海道経済
月刊北海道経済は創刊以来40年。旭川市を中心とする道北地域の政治・経済・文化の話題を発信している雑誌です。
Q 当社の下請会社甲社が倒産してしまいました。ところが、2回目の不渡りの2日前の日付で、甲社から当社に対する請負工事代金債権200万円を乙社に譲渡したという内容の内容証明郵便が届き、乙社の社員と称するものが200万円を支払えと言って当社に押しかけて来ているのです。
当社の調査や情報によると乙社というのは市内でも有名な暴力金融会社とのことであり、乙社に支払っていいものやら拒否していいものやらと判断しかねているのです。
成 甲社があなたの会社に対する200万円の請負代金債権を乙社に譲渡したという甲社からの内容証明郵便は、形式的にはあなたの会社に対する対抗要件を具備したことになります。
しかし、譲受人すなわち乙社が真実の債権者でない場合は、あなたの会社が乙社に支払っても責任を免れることができず、二重払いの危険性が付きまといます。
債権の準占有者に対する弁済としてあなたの会社が免責される場合は、譲受人である乙社が真実の債権者であると信じたこと及び信じるにつき相当な理由がなければ有効な弁済とはならないのです。
富 乙社については私もその悪評を耳にしたことがありますが、あくまでも一般論との断りのうえですが、倒産必至の会社に債権を有しているというたちの良くない会社が乗り込み、予め多数の債権譲渡通知書に署名押印をさせておいて、倒産の事態が確定した時に、倒産会社の意思にかかわらず乗り込んできた会社が勝手に債権譲渡通知書を発送する、あるいは、ひどい時には全くの白紙の用紙に予め倒産会社の記名印を取り付けて債権譲渡と称して通知を発送することもあるのです。
成 まず、あなたの会社としては、冷静に甲社との取引内容を調査し、真実200万円の請負代金支払債務があるかどうか、また、弁済期に来ているかどうかを調査し、その上で、書面でどのように対応するかを回答するとして対応すべきでしょう。同時に、甲社が、倒産の場合の法的手続すなわち裁判所への破産手続開始の申立、民事再生手続開始の申立等を行っているかどうかを調査すべきです。仮に裁判所に破産手続開始等の事件が継続している場合は、破産管財人に問い合わせをして、正当な受領権者は誰かを調査してもらうことも大切です。
富 さらに、そのような調査をしても、請負代金200万円を甲社に払うべきなのか乙社に払うべきなのかの判断ができない場合には、安易に乙社に支払い、後に甲社あるいはその破産管財人から請求されて二重払いの危険を負うことにもなりかねません。そのような時には債権者が誰であるのか確認できないことを理由に、法務局に200万円を供託して免責を得ることが可能です。
供託という手段があることを念頭に入れてください。
成・富 倒産に絡む債権の取立てとしては、債権譲渡のほかに、倒産会社から委任を受けたとして委任状を持参して請負代金等の請求をする暴力団関係者もいます。このような場合にも、真実、倒産会社が委任行為を行ったのか否か等を調査し、結局、誰に支払うべきかの確定ができない場合には、債権譲渡と同様に法務局に供託するという手段をとるべきです。