旭川から発信する情報コンテナ月刊北海道経済
月刊北海道経済は創刊以来40年。旭川市を中心とする道北地域の政治・経済・文化の話題を発信している雑誌です。
Q 私はA市の総務課の課長をしていますが、昨日、市の職員が職務中、公用車を運転して人身事故を起こしてしまいました。
怪我の程度は入院する必要のない程度のものと聞いており、また、過失内容も市の職員が100%過失のあるものではないとのことですが、本日、総務課長の私のところに被害者の代理人という方から電話があり、当座の生活費として少なくとも50万円は払ってもらわないと生活に困窮するとの電話がありました。
役所であるため自賠責保険にしか加入しておらず、予算措置との絡みもあり、すぐに50万円を右から左に払うこともできず困惑しています。
成 まず、適正な損害賠償を行うためには、過失割合(これを過失相殺ともいいます)がそれぞれどの程度あるのか、そのためには事故状況に関する実況見分調書等の取寄せも必要になるでしょうし、被害者の方の受傷の照会、ことに、いつごろ治癒するのか、実通院日数は何日位かなどを把握しなければなりません。
従って、まず、事実関係を調査・確認した上で対応させていただきたいと答えるべきであり、安易に先方の要求に応ずることは避けなければなりません。
ことに、役所は自賠責保険にしか加入していないようですから、予算措置との兼ね合い、ことに、いつ現実に賠償金を払えるのかとの予測の基に交渉しなければ、相手方につけ込まれるおそれがあるので安易な返答は禁物です。
富 特に気になるのは、被害者の方の代理人からの電話というのが気がかりです。
本当に代理権があるのかどうか、今後の交渉をどなたと行うのかを含め、代理人という方の住所や氏名をきちんと確認する必要がありますし、場合によっては、被害者ご本人の実印を押印した印鑑証明書添付の委任状をいただくことも視野に入れるべきでしょう。
後々、委任した覚えがないのにどうして示談をしたんだ、その金額での合意を了解した覚えはないなどの派生的紛争も生じかねませんので、代理権の確認はぜひしていただきたいところです。
成・富 適正な賠償のためには、事実の調査や確認が必要ですから、以下のとおり答えておくことをおすすめします。
「事故の原因や事故状況を当該職員から聴取し、さらに、警察からお聞きすることも視野に入れております。また、お怪我が一日も早く回復されることを願っていますが、現在の受傷状況や今後の治療見込み等についても診断に当たった医師からお話を伺わなければなりません。これらを踏まえて対応させていただく所存です」―といった返答が望ましいと思います。
被害者あるいはその代理人と称する方は、場合によっては「誠意がない」「被害者を放っておくのか」などより強い口調で感情的に言ってくるかもしれませんが、肝要なことは、その場しのぎの対応ではなく、冷静に、今できないことははっきり断るべきですし、場合によっては専門家である弁護士に相談してからお答えしますとの対応も考えるべきでしょう。