北海道経済 今月の視点【2003年04月号】年金崩壊の元凶は厚生労働省だ

今月視点

【2003年04月号】 西田 勲

年金崩壊の元凶は厚生労働省だ

私もいよいよ65歳で、年金受給資格者となった。まだ報酬がある関係で今年から受け取るなら約3分の1の基礎年金部分だけとなるため受給開始を先に延ばそうかと考えていたが、妻に「年金の将来なんてあてにならない」と言われ、少額ではあるが今年から受給することとした。

年金の将来を危ぶむのは私の妻だけではない。先日若い人と話す機会があったが、彼らが年金制度をまったく信頼していないばかりか、日本の将来に対しても希望を持っていないことにがく然とさせられた。また、年金保険料を払っていない人が大勢いることも聞かされた。今や年金不信は日本中にまん延しているのである。

崩壊寸前と言われる年金制度の改革に政府も本腰を入れようとしている。この4月からは、デフレ下でダウンしている消費者物価にあわせて年金支給額を0・9%引き下げることになった。ちなみに夫婦2人の標準世帯で月額2133円少なくなるそうだ。また、年金保険料の算出方法も総報酬制に変わる。今までは、給与部分については17・35%で、賞与部分が1・00%となっていたが、これが給与も賞与もすべて13・5%の保険料となる。

しかし、このような政府の取り組みはどれも小手先だけのように見えてしまう。国民に痛みと負担を押し付けながら、根本的な改革のメスを入れようとしていないのである。

そもそも、年金制度を崩壊に導いているのは厚生労働省そのものであると言いたい。

同省の株式投資の失敗で、過去2年半の間に国民の大切な積立金5兆6000億円もが消えてしまっているのである。また、特殊法人を設立し全国13か所にグリーンピアという保養施設を造ったが、その投資額は1900億円で、しかもこの施設は厚生労働省と地方自治体の天下り先となった。当然のことながら役人感覚の運営がうまくいくはずもなく、6000億円もの損失を発生させることとなり、施設の買い手を探しているが見つからないのが現状だ。結局、巨額な損失のほとんどは年金積立金から消えていくことになるのである。

また、年金制度で腹の立つのが議員年金である。

国会議員を例に取れば、10年間議席を守れば、最低でも412万円の年金が支給される。この額は国民年金の20倍であり、3分の2が税金で負担される。ちなみに国民年金の税の負担は2分の1である。しかも国民は1つの公的年金にしか加入できないが、国会議員は公的年金の他、重複して議員年金に加入できるのである。

こうした不公平な点こそ早急に見直し、公明正大な制度に改めるべきである。そうでなければ、国民の年金制度に対する不信は募るばかりである。

ところで深刻な経済不況から、社会保険を脱退する企業が増えている。本来、強制加入であるのだが、保険料の半額負担に耐えかねるほど経営が厳しい企業が増えて、脱退もある程度黙認するしかないのが実情のようだ。

企業が社会保険を脱退した場合、社員は個人で保険料を負担しなければならない。企業は負担がなくなり助かることになるが、しかしこのような企業がどんどん増えていったならば、それこそ年金制度は崩壊する。

公的年金は国民の老後の生活の糧(かて)である。現在、年金を支えている勤労者世代、またその次の若い世代にも将来に希望が持てるよう、根本的な徹底した制度改革を望みたい。