旭川から発信する情報コンテナ月刊北海道経済
月刊北海道経済は創刊以来40年。旭川市を中心とする道北地域の政治・経済・文化の話題を発信している雑誌です。
民主党と自由党の合併で、民主党は国会議員200人を超す大政党となった。2大政党の形が国民にはっきりと見えるようになり、今度の選挙は「自民党か民主党か」の政権を選ぶ選挙となったといえる。もっと分かりやすく言えば「小泉首相か菅首相か」を選択する選挙だ。
政党や政策本位の選挙を実施し、政権交代も可能にしようとの趣旨で小選挙区が導入されてほぼ10年になるが、ようやく機が熟したということなのだろう。自民党総裁選では今までのような派閥の数の論理や金の力は決め手とならず、「選挙の顔」として国民にどれだけ支持され人気があるかが決め手となった。また総裁選後の組閣人事では、派閥順送り、当選回数至上主義がもはや通用しなくなっていることが明らかになった。中選挙区時代の古い政治的しきたりは破綻し、永田町も大きく変貌しているのである。
近づく選挙を前に民主党は早々と、選挙に勝ち政権政党となった場合に実行する政策をマニフェストとして明らかにしている。国民に政治を具体的に分かりやすく示すものであり、大変良いことだと思う。
民主党のマニフェスト素案を見ると、実際に国民が望んでいることが数多く盛り込まれている。例えば、「公共事業を受注している企業からの政治献金の全面禁止」「衆議院の定数を80人減らす」「痴呆老人介護のためのグループホームを全国に1万カ所増やす」「道路公団を廃止して高速道路の無料化」「警察官の3万人増員」などである。
いづれも国民の望むインパクトのある政策であるが著しい財源不足の元で果たして実現出来るのか、疑問視する声も多い。また国民の最も嫌がる消費税アップにほとんど触れていないのも、人気取りのためのマニフェストと厳しく指摘されるゆえんである。
それでも、民主党がマニフェストを示したことで、これに対抗し自民党小泉政権が改革の目標を具体的に示し、2党間の政策の違いが明確になり、これまでになかった政策論争が起きていることは大きな前進だと思う。その点で私は民主党を評価したいと思う。
ところで、マニフェストを従来の選挙公約と変わらないものと理解している国民が多いのが気がかりである。最近の新聞でも「政権公約」と表現しているが、選挙公約とは、人気取りメニューを漫然と並べ立てたものが多かった。「改革なくして回復なし」とする小泉首相の主張も、道路公団や郵政民営化の具体的スケジュールを示すことができていないから、マニフェストではなく選挙公約なのである。
マニフェストは、期限や事後評価がなくあいまいな選挙公約と違い、政権を担っている期間内に具体的にどのように実現していくか国民と約束する契約なのである。
早々とマニフェストを示した民主党に対し「好き放題書いて評価を待たない立場であれば気軽だ。わが党はマニフェストなど関係ない」といった声も党内にあった自民党も、民主党に次いでマニフェストをつくらざるを得なくなった。党内に依然抵抗勢力を抱えながら郵政民営化などを具体的にどう明記するのか注目したい。すでに11月9日の総選挙に向けて走り出している。有権者が候補者の好き嫌いだけではなく政策で選択できる選挙になれば日本の民主主義も大きく前進したことになる。