北海道経済 今月の視点【2004年01月号】正念場を迎えた旭川の流通業界

今月視点

【2004年01月号】 西田 勲

正念場を迎えた旭川の流通業界

近文、緑町周辺を通った市民は、日ごとにその威容をあらわにするイオンのショッピングセンターを目の当たりにして一様に驚くようだ。

すでに報じられているように、イオンの規模は敷地面積9万8000平方メートル、延床面積8万6000平方メートル、店舗面積は約4万平方メートル。数字だけ並べてもすぐにはピンとこないが、店舗面積を旭川の既存のスーパーと比較すると、丸井とイトーヨーカドーの売り場を合計したものより大きく、またポスフールの永山、春光の両店に長崎屋を加えた売り場にほぼ匹敵する。まさに巨艦である。

核となるのはスーパージャスコで、テナントとして約130店が入る予定だそうである。ジャスコは子供服から婦人・紳士のカジュアルまで衣料品の品揃えを強化し、一方専門店街はアメリカのカジュアルブランドなど高級デパート並みの品揃えとなるようだ。また3階はテーマ性をもたせ、旭川開拓時代の街並みを再現しラーメン街も誕生させるプランを進めている。

イオンが関係者に配布したフロア配置などの資料を入手した知人の小売業者は「本格的なものができる。旭川の商業地図は大きく塗り替わる」と、その影響の大きさを今から心配気な表情で語る。

現在、市内には店舗面積が1000平方メートルを超える小売店が74ある。74店合わせた店舗面積は約34万3000平方メートルにのぼる。かなり以前から「オーバーストア状態」といわれていたが、イオンが開業すると、ここにさらに約4万平方メートルプラスされることになる。

市場規模は、この不況下では小さくなりこそすれ、大きくなるということは考えられない。イオンの年間販売目標額は一説には300億円ともいわれるが、開業すればその分、どこかが食われることになるわけだ。

振り返ってみると、市内に大型店が登場し身近な商店街が衰退を始めたのは20年余り前、昭和50年代である。イトーヨーカドーやニチイ(現ポスフール)、ダイエー(豊岡)などが相次いで進出してきた時にはエリアの商店街から出店反対運動が起きた。その後、紳士服やスポーツ用品、玩具などを扱うロードサイドショップが隆盛し、最近は、家電や日用雑貨、ドラッグなどの業種が複合でショッピングゾーンを形成するようになった。複合ショッピングゾーンの代表格は永山にあるパワーズである。この間―4半世紀に旭川の商店数は700店減少し3177となっている。約18%淘汰されたということである。

イオン開業で小売業界の淘汰がさらに加速されるのは必至だ。「地場中小というよりも駅前のデパートや、イトーヨーカドーなど中心部のスーパーが影響を受ける。西武函館店が閉店したが、場合によっては旭川店の撤退もありえるのではないか」とさえ言われている。駅前から西武がなくなることを想像するとゾッとするが、そういうケースが起こり得るほどイオンの影響は甚大なのである

以前、関東のある街を訪れた時、着替えのシャツを買わなければならなくなったことがある。JR駅に隣接していたそごうは少し前に撤退していて、比較的近くにあったダイエーも不採算店として閉鎖されていた。町の人に「このあたりに衣料品店はないですか」と訪ねると、しばらく考えてから「車で15分ほど行くと郊外にジャスコがあります」と教えてくれた。

時代の流れといってしまえばそれまでだが、身近な商店街や中心街が空洞化してしまえば、住民の利便性は失われてしまう。市や商工会議所が何とか示唆を与えてほしいものである。