旭川から発信する情報コンテナ月刊北海道経済
月刊北海道経済は創刊以来40年。旭川市を中心とする道北地域の政治・経済・文化の話題を発信している雑誌です。
「北海道でもやればできるんだというところを見せたかった」。夏の甲子園で駒大苫小牧を優勝に導いた香田誉士史監督の力強いコメントだった。感動的な決勝戦、道民すべてが感動し、粘り強い選手たちのプレーから勇気をもらった。
初戦佐世保実業戦に始まって、日大三、横浜、東海大甲府、決勝戦の相手済美と、強豪相手にどの試合も逆転、また逆転の大接戦。苦しい場面もあったが、汗にまみれた選手たちの顔はいつも輝いていた。大舞台でこんなのびのびしたプレーができる北海道のチームは初めて見た。一戦ごとに力をつけていったのだろう、選手一人ひとりの顔はいつも自信にあふれていた。「強い」の一言に尽きる。
ベンチ入りしていた18人が全員道産子というのもうれしい。野球留学した有名選手は一人もいない。以前は入部希望者も少ない弱小チームだったそうだが、香田監督が選手を大切に育て、鍛えた。
東北以北の高校が日本一に輝くのは春夏通して初めて。アテネオリンピックでは日本勢の金メダルラッシュが続いたが、道民にとってはそれ以上の喜びだったと思う。
振り返ってみると、97年の拓銀破綻以来、北海道は暗く重苦しい事件ばかり続いてきた。主力行を失った企業が続々と倒産し、その後遺症は今なお続いている。00年には雪印乳業が集団食中毒事件、牛肉偽装事件などを起こし、北海道ブランドにキズがついた。小泉政権の行政改革の流れの中で公共事業の削減は続き、建設業界は瀕死の状態。裾野の広い建設業のパワーダウンは、経済全体に影を落としている。日本経済は回復期に入ったといわれる中で、北海道は一向に好転の兆しはなく、今でも失業率は6.7%という高い数字のままである。
そんな低迷北海道に、駒大苫小牧は「北海道でもやればできるんだ」という勇気と希望を与えてくれたのである。
ところで、夏の甲子園も中盤の8月17日の日本経済新聞に興味ある記事が掲載された。日経がソウル、香港、台北、上海の4都市で行った『日本の観光地意識調査』の結果で、何と4都市中3都市で北海道が訪ねてみたい観光地ナンバーワンとなっているのである。北海道のどこに魅力を感じるかとの質問には「温泉」「自然」との回答が多かった。身近すぎてわれわれは豊かな自然や温泉に感動しなくなっているが、北海道は外国の観光客を呼べる有効な観光資源に恵まれていることを、日経の記事が示してくれている。
がん闘病を新聞紙上でユーモラスに綴っている拓殖短大の相馬暁教授に以前お会いした時、「若者が就きたいと希望する職業は、近い将来、農業になる」と断言していた。年々、重要性を増す食糧問題で、食糧基地としての北海道が注目されていくというのである。
こうやって考えていくと、不況に喘ぎながらも北海道は大きな可能性を秘めていることが分かる。
トスボールを連続して打ち続け、冬は長靴を履いて学校の駐車場でフライをとる練習をし、本州へ遠征試合に繰り返し、甲子園で勝つための努力を積み重ねて駒大苫小牧は頂点に立った。オリンピックのメダリストたちも、外国の強豪選手を研究し、勝つための努力、練習を積み重ねて勝者となった。豊かな大地という財産を大事に育て、また競い鍛えていけば、きっと北海道は元気を取り戻す。