北海道経済 今月の視点【2004年11月号】地域密着こそプロ野球再生の道

今月視点

【2004年11月号】 西田 勲

地域密着こそプロ野球再生の道

今期のプロ野球巨人戦ナイターの平均視聴率は過去最低の12・2%だった。この人気低落で、テレビ局は来期の中継計画を見直すそうである。また別の視聴調査によると、「プロ野球を見なくなった」と答えた人が43%にも達している。

“プロ野球離れ”を加速させたのは、球界再編を巡る球界のゴタゴタである。存続を願う近鉄やオリックスファンを無視し、球界を牛耳る巨人の渡辺恒雄前オーナー中心の対応がファンの不信感を募らせた。合併撤回を要求しストも辞さないとする選手会に対して渡辺氏から「たかが選手の分際で無礼なことを言うな」との暴言も飛び出した。球界への風当たりが強くなり、球界側が選手会へ譲歩しストは2日で回避され、ライブドアや楽天などの新規参入の道は一応開かれたが、完全にすっきりしたとはいえない。

球界が合併問題で揺れ始めた7月に来旭した元阪神タイガース監督の星野仙一氏は、むしろゴタゴタを歓迎している様子で「これを機会に巨人一極集中を一掃しなければ日本のプロ野球界の発展はない」と力説していた。冒頭に紹介した視聴率調査の「プロ野球を見なくなった」理由としてあげられた理由のトップも「一部のチームに有名選手が集まって不公平だから」というもの。自分のチームで選手を育てず、金の力で他球団の有名選手をかき集める巨人の経営姿勢が球界のがんであることを野球ファンも認識しているのである。

ところで、日本のプロ野球から離れた視聴者は何を見ていたかというと、アメリカ大リーグ、そしてJリーグやサッカーの国際試合である。

中でも、イチロー選手が活躍した大リーグのマリナーズ戦は日に日にボルテージがあがり、スポーツ観戦とは日ごろ縁のない人までをも熱狂させた。年間安打数最高記録更新が秒読みに入って、私も連日大リーグ中継を観戦したが、今期最下位が決まっているチームの試合とは思えない球場の盛り上がりに感動した。

マリナーズは、松井選手のいるニューヨークヤンキースなどといった強豪チームというイメージはない。しかしマリナーズには「地域対策課」というのがあって、定期的に学校を訪問して野球の素晴らしさを子どもたちに伝える、あるいは人気選手総出でのチャリティーや奉仕活動を積極的に行っている。また、フェンスを低くして観客との距離を縮める、試合前のファンサービス、マイナーリーグに至っては球場で運動会を開いたりと、大リーグの中でも特に、地元ファンサービスに余念がない。そうした徹底した地域密着型経営の成果から、黒字が続いている。

日本にも地域密着型で成功を収めているスポーツチームがある。Jリーグのアルビレックス新潟である。特に有名選手はいないし親会社もない。しかし170社の株主、約1万人の後援会員がいて、子どもからお年寄りまで全市民がサポートしている。経営は黒字。子どもたちの中から優秀な選手を育てようとサッカーの専門学校を開校させており、地方のJリーグのモデルチームである。

身近なところでは今年札幌に本拠地を構えたプロ野球の北海道日本ハムファイターズ。子どもファンを大切にし先着1000名に帽子をプレゼントしたり、試合直後ファンにグラウンドに降りて歩いてもらうグラウンドウォークなどは今や名物となっている。

地域密着、身近で親しまれるチームをつくることがプロ野球再生の道ではないだろうか。地域が育てたスポーツチームの活躍は、地域に輝きを与え、低迷する経済にも良い効果があると思う。