北海道経済 今月の視点【2004年12月号】ひどすぎる寒冷地手当の官民格差

今月視点

【2004年12月号】 西田 勲

ひどすぎる寒冷地手当の官民格差

原油価格の高値推移が続いている。私たちの生活に密着しているガソリンや灯油の値段もかなり上がってしまい、じわりじわりと家計に影響を及ぼしている。

今後の見通しを上場企業100社の社長さんに聞いたアンケート結果が日本経済新聞に掲載されていたが、40ドルを超す原油高が続く期間として、回答者の46・1%の人が「年明け以降も」、14・8%の人が「来年3月以降も」とし、また60・9%の人が自社の経営に与える影響について「マイナスの影響のほうが大きい」と答えている。何とも気になる原油価格の動向である。

さて、そうした状況の中で寒冷地手当(燃料手当)支給の時期を迎えた。私の会社はここ数年一定の額を支給してきたが、最近の灯油高騰も考慮すべきと思い、いろいろと支給状況を調べてみた。驚いたのは、支給凍結あるいは廃止に踏み切っている企業が予想していたよりずっと多かったことである。長引く不況でどこもリストラに懸命となっており、寒冷地手当どころではないのが実情のようである。

そもそも寒冷地手当は、公務員に対し、生活補助の一環として実施されるようになった。「石炭購入代」として冬場、季節的に負担が増す分を補てんする目的で1949年に議員立法で法制化されている。これに民間が習って広く一般化していった。

冬場の生活費のプラスアルファーという考え自体は私もいいと思う。ただ議員立法で法制化されて半世紀あまりたった今、官民格差が大きくなりすぎていて問題がある。

たとえば旭川市の場合であるが、市職員は世帯主で年間21万円支給される。ちなみに札幌市職員も同額である。これに対して北海道経営者協会のアンケート結果では民間企業の社員(世帯主)に支給される寒冷地手当は平均10万6000円。官と民の間に約2倍の開きがあるのである。

しかも前述したように、すべての企業が支給しているわけではなく、余力がなくて支給できない企業も多い。札幌商工会議所の昨年冬のデータでは、支給した企業は66%にとどまっている。

この官民格差はできるだけ早期に解消すべきである。

冬期間、実際にどのくらい暖房費がかかるものかざっと計算してみると、1世帯あたり10月〜3月までの灯油消費量を2000リットルとして、小売価格50円を掛けると10万円となる。価格は多少変動するが、だいたい民間の支給額が実情に合っているといえる。公務員の支給額は多すぎる、恵まれすぎているのである。

市の財政に余裕があるのならまだしも、一般会計予算額1610億円を上回る1918億円の借金(一般会計市債残高)を抱える現状では早急に見直すべきだと思うがどうだろうか。人事院も、この寒冷地手当の抜本的見直しに着手しているのである。

旭川の企業でも年功序列の給与体系を改め成果主義を導入するところが増えている。市も寒冷地手当などを含め市職員の給与体系を抜本的に改革するべきである。あまりに大きな寒冷地手当の格差、さらには年収の開きは、納税者である市民が許さないと思う。

昭和20年代に石炭購入代としてスタートしたこの制度も、時代が移り経済情勢が大きく変わってしまった今、見直しが迫られているのである。きっと後10年もたてば、「寒冷地手当」という言葉自体、死語となっているだろう。