旭川から発信する情報コンテナ月刊北海道経済
月刊北海道経済は創刊以来40年。旭川市を中心とする道北地域の政治・経済・文化の話題を発信している雑誌です。
旭川青年会議所新年交礼会での青木次郎上川支庁長のあいさつがふるっていた。「JCの皆さんにお願いがあります。それは子どもをぜひつくってもらいたいということです。このままでいくと2030年には日本の人口は1億人を切り大変なことになります。どうしても2人以上の子どもをつくってもらいたい。私をはじめここにいる多くの来賓の方々はもう無理ですから(笑)」。ユーモラスな中にも、JCの仕事は街づくりより子どもづくりと言わんばかりの切々とした訴えであった。
日本の少子化と高齢化はかつてどの国も経験したことのないスピードで進行している。一昨年の出生率は1・29と史上最低を記録した。昭和20年代の第一次ベビーブームの頃は4・0前後だったから、これと比較していかに生まれてくる子どもが少なくなっているかが分かる。それでも今起きている変化はまだ小さなものなのだそうである。「やがて大きなうねりとなり、成長力や創造力が弱り、国力衰退の瀬戸際に立たされる」と専門家は警告している。
そのシナリオは次のようなものだ。
今後も出生率は少しずつ低下し10数年後に1・2くらいになる。反面、高齢人口は増加を続け2020年には3・5人に1人が65歳以上となる。さらに20年後の2040年には5人に2人が高齢者となり、若年人口が減って労働力を維持できなくなる。2050年の時点で15歳から64歳までのすべての国民が働いても現在の労働力を保てない。その結果、アジア諸国やアフリカ、南米などから大量の移民を受け入れざるをえなくなり、諸外国のような深刻な民族問題に悩まされることのなかった日本も平穏ではなくなる。
また、新規の道路や橋がつくれなくなるともいわれる。利用者不在で建てかえ修繕費だけが膨らみ「修繕国家」となってしまうのである。成長率や経済収支は先進国最大の落ち込み、年金制度は行き詰まり、国の借金は膨らみ、逆に消費は縮む。
何もいたずらに最悪のシナリオを紹介しているわけではない。今、少子化問題に有効な手を打たなければ、近い将来確実に私たちを待っている現実なのである。
一足先に少子化問題を抱えたヨーロッパ各国では様々な対策を打ち出した。24種類の子ども手当てを用意したフランスでは1・6まで下がった出生率を10年で1・9に上げることに成功している。母親が働ける仕組みを整えたスウェーデンでも出生率が上向いている。欧州連合(EU)はさらに少子化対策を重視し、今後5年の最優先課題にすると表明している。
日本の対策は遅くお粗末である。郵政民営化の問題以上に重要な問題であると私は思っている。民主党が先ごろ、義務教育が終わる中学3年まで1万6000円を支給する「子ども手当て」を提案したが、自民党がどう対応するか。これを機会に少子化対策の議論が盛んになることを願っている。
わが北海道は全国平均よりさらに速いスピードで少子化が進む。2030年には札幌市以外の道内主要都市は軒並み人口減となり、旭川市は30万人台を割り込み28万5000人になると推計されている。
産み育てやすい環境づくり、子育てを負担に感じない国の政策が早急に必要である。欧州の取り組みから明らかな通り、政府の姿勢次第で出生率を上げることは可能なのである。