北海道経済 今月の視点【2005年04月号】空港ビルの整備は観光振興の第一歩

今月視点

【2005年04月号】 西田 勲

空港ビルの整備は観光振興の第一歩

旭川空港を利用する国際チャーター便が急増している。平成12年度はわずか11便だったのに、4年後の16年度は380便という驚異的な伸びをみせており、乗降客数はついに5万人を超え、市の試算では経済効果も8億円強となっている。

中華航空など台湾の航空会社3社の便が全体の約85%を占め根強い台湾の「北海道ブーム」を反映しており、韓国からの便も急増。また実績のなかった中国からも16年度は2便が就航している。17年度はさらに増便となり450便に達するというのが関係者の見方で、さらなる“チャーター便特需”に観光業界の期待がふくらんでいる。

ところで、チャーター便急増で改善が急がれるのが受け入れ態勢の整備だ。

チャーター便1機には平均すると150人ほどの観光客が乗っているが、旭川空港に降り立つと入国審査手続きのために長い行列ができる。専用スペースがなく、既存の施設を何とかやりくりして使っているため廊下や階段まで観光客があふれることになり、しかも手続きを終えるのに1時間から1時間半かかっているのが現状である。市は駐機場拡張と保安検査機器の増設を新年度予算に組み込む。現在1ラインの保安検査を2ラインにすることで、離陸前の検査待ちの行列はかなり緩和されることになるが、混雑解消の決定打にはならない。

そこで今、浮上しているのが国際線専用ターミナル建設構想である。

発案者は、かねてから「経済の発展には空港の問題が一番大事だ」との持論を展開している高丸修商工会議所会頭。「憧れの北海道に降り立った玄関口がこうではいきなり悪い印象を与えてしまう。混雑解消には新たにターミナルをつくるしかない。通過型観光からの脱却という悲願達成のためにも必要だ」と、昨年来、市や関係する機関に強力にアピールしてきた。年明けには市と商工会議所、旭川空港ビルでつくる「国際線専用ターミナル増改築検討委員会」が立ち上がり、現在、具体的なプランづくりに入っている。

問題は財源で、99年にオープンした新ターミナルビルの償還を抱える空港ビルでは大きな投資は避けたいというのが本音で、当初は国際線ターミナルビル構想に否定的だった。また「東南アジアの北海道ブームは間もなく下火になる。新たな施設は不要だ」との冷ややかな意見もある。クールな予測の根拠は、一時北海道のように東南アジアからの観光客ブームにわいた九州があっという間に衰退したことと、中部空港―愛知万博でこれからは中部地方が脚光を浴びるというものである。

確かに今のように毎年観光客が増え続けるということは考えられず、間もなく落ち着くのだろう。しかし台湾などの南の地域の人たちの冬や雪に対するあこがれは大きく変わらないのではないかと私は思う。われわれ日本人がハワイに対して抱くあこがれに似ている。

検討委員会では今、別棟で新ターミナルビルを新築するか、あるいは既存のビル増改築で対応するかを検討している。一番の積極論者である高丸会頭は「行政はどうしても現状に目を奪われがちだが、もっと長期的な展望を持ってもらいたい。旭川は千歳のサブ空港という位置づけで整備を進める必要がある。それが道北の活性化につながる」と力説している。菅原市長も会頭の考えに共感し、2月25日の施政方針演説の中で「国際チャーター便に力点を置いた観光振興推進」を強調した。

巨費を投じて開業した新千歳はもうすでに満杯状態で、旭川をはじめとするローカル空港も混雑が続いている。国際化が進んで本格的な航空機時代が到来した証ではないだろうか。高丸会頭が言うように、国際線ターミナル建設は先行投資。旭川や近郊町村発展のために必要だと思う。