北海道経済 今月の視点【2005年06月号】“賞味期限切れ”の憲法九条

今月視点

【2005年06月号】 西田 勲

“賞味期限切れ”の憲法九条

最近、憲法改正の議論が盛んになっている。制定からおよそ60年、これまで改正が行われたことはないが、憲法は改正できるものであり、実態と違うものについては改正した方がいいという意識が高くなってきているようである。テレビ朝日の世論調査によると「憲法を改正すべき」と答えた人は46・8%、「そうは思わない」が35・2%となっている。とくに若い世代の改憲志向が強いようだ。朝日新聞の調査では20代の63%、30代の62%が改憲賛成で、他の世代と比べて突出している。こうした流れに対するいわゆる護憲派の危機感は強いようで、憲法記念日の5月3日に旭川市公会堂で開かれた『あさひかわ九条の会』の結成大会にはおよそ700人の市民が集まり「憲法九条を国民の力で守り改憲勢力と闘おう」と訴えた。

憲法改正論については、天皇制に始まって国民の権利義務まで様々な議論があるところだが、やはり何といっても「九条」の扱いであろう。

九条は2項目からなっており、第1項は「国際紛争を解決する手段として武力行使は永久に放棄する」という平和理念。これに反対する人はだれもいないと思う。問題は「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」とする第2項である。自衛隊は近代兵器をはじめ十分な戦力を持っているから明らかにこの第2項に違反しているし、国民のほとんどが自衛隊は事実上の軍隊だと思っている。

今の憲法はアメリカ進駐軍が日本側の意向も聞かずにわずか1週間で書き上げたものである。とくに九条は、日本に軍事力を持たせず弱小国家のままにしておこうという占領軍の意図が込められたものだ。戦後、国際情勢はめまぐるしく変わり各国の事情も様変わりした。その間、多くの国で憲法改正が行われている。日本と同じ敗戦国のドイツでも数え切れないほど改正を実施している。

今の憲法が制定されたときは日本は焦土と化しアメリカの経済力と武力の下で戦後処理にあたるしかなかった。しかし60年たって、世界をリードする経済大国となった。憲法で規定している国の枠組みと実態にズレが生じているのである。いわば九条はもはや“賞味期限切れ”なのである。

旭川の自衛隊駐屯地からイラクに隊員が派遣された時、壮行会の出席者の1人が「こんな中途半端な憲法の下でイラクへ派遣させるのは忍びない。早く九条を改正し、法律上もはっきり自衛隊を軍隊とし国民の砦として働いてもらいたい」と熱っぽく語っていたのが印象に残っている。私は九条の1項はそのままで、2項については「日本は日本国及び日本国民を守る為必要かつ十分な戦力を持つことが出来る」と改めるべきだと考える。北朝鮮をはじめ中国やロシア、韓国、台湾など日本を取り巻く諸国は軍事大国。中には核兵器を持っている国もある。しかも今、周辺の状況は安閑としていられないのが現実である。北朝鮮のミサイル発射問題、韓国が領有権を主張する竹島問題、そして暴動化する中国の反日デモ。「備えあれば憂いなし」ではないが、国民の生命、財産を守るための機能はやはり必要だ。

国民の大半は、国土防衛、災害復旧、国際平和活動と自衛隊の役割を認め期待している。憲法も、問題がある時には修正するべきもの、決して不変のものではない。国民の考える国のあり方が変われば、憲法も変えればいい。