旭川から発信する情報コンテナ月刊北海道経済
月刊北海道経済は創刊以来40年。旭川市を中心とする道北地域の政治・経済・文化の話題を発信している雑誌です。
今年の正月、高丸修商工会議所会頭が私に「今はまだ言えないけれど、旭川市にとってとてもビッグなニュースがあるんだ」と、興奮気味に話していたことを覚えている。しばらくたってからそのビッグニュースというのが、旭川空港の国際線専用ターミナルの整備と旭川リサーチパークへの医療関連施設集積という2つの事業の「特区申請」だと分かった。この事は最近、マスメディアでも繰り返し報道されていて、沈滞する旭川を変えるプロジェクトとの期待が膨らんでいる。一方で「特区って何か良く分からない」との声も市民の間から聞こえてくる。
特区(構造改革特区)は、02年から国が進めている地域振興策だ。自治体や民間企業から事業のアイデアを募り、その事業推進のために地域を限定してさまざまな規制を除いたり緩和したりする施策。これまでに国は6回の募集を行っており、約550件が認められている。例としては、酒税法を緩和しての「どぶろく特区」や、学校教育法を緩和して株式会社が学校を経営できる「教育特区」などがある。特区として認定された場合、今年4月に施行された「地域再生法」に基づき国から交付金の支給を受けられる可能性が大きい。交付金や補助金を活用すれば自治体の負担がほとんどない場合もある。全国どこの自治体も財政難に悩み、新しい事業着手が難しくなっているが、特区として認められるアイデアがあれば、小さな事業負担で地域振興につながる新規プロジェクトに取り組めるというわけだ。
台湾や韓国などからの国際チャーター便急増に対応して、旭川空港の国際線専用ターミナル新設が旭川市の緊急課題であったのは周知の通り。しかし、国際線の定期便が就航していない空港は規制があって、CIQ(税関、出入国管理、検疫)の常駐化はできない。また10年前に頭脳立地構想の支援団地として造成されながら約4割が売れ残って処分の目途がたっていないリサーチパークも、規制があって誘致できる業種が限られている。もし国の特区に認定されれば、旭川市が抱えるこの2つの課題が一挙に解決され、地域振興につながる明るい展望が開かれるのである。
この2つのプロジェクトは、商社の三井物産とシンクタンクの地域経済研究所が構想を描き、商工会議所に持ち込んだものである。三井物産はサハリン沖の天然ガス開発に力を入れており物資や機材の輸送をスムーズに行うため旭川空港に着目した。都市基盤が整いロシアに近いという地の利もあり、ロシア事業の空の拠点にと判断した。一方、ロシアは医療面で遅れており、先進医療の日本に期待するところが大きい。
大手商社とシンクタンクのアイデアとして突然降って沸いたという感じの今回の特区構想に、当初は戸惑いがあった旭川市も、高丸会頭の熱意を受け庁舎内にプロジェクトチームを発足させて素案策定作業を急いでいる。今月中にも国へ提案し、詳細を詰めた認定申請は年明け1月のスケジュールのようである。
2つ合わせて330億円に達する大事業で、また申請特区の国の認定率2割と、そう簡単なものでもないが、官民一体となって何とか旭川のために実現したいものである。先日、高丸会頭の紹介で地域経済研究所の専務理事飯島達郎さんと名刺交換をした。その際、会頭は「順調に運んでいる。大変有望であり期待していてください」と力強く話していた。旭川のために是非頑張ってもらいたい。