旭川から発信する情報コンテナ月刊北海道経済
月刊北海道経済は創刊以来40年。旭川市を中心とする道北地域の政治・経済・文化の話題を発信している雑誌です。
ポテトの愛称で市民に親しまれている旭川ケーブルテレビが民事再生の手続きをした。最近4年はわずかながら黒字となっていたが、債務超過もさることながら、間近に迫ったデジタル化対応で新たな投資が必要となり、抜本的な体質改善に取り組まざるを得なかったようだ。
きれいな映像が楽しめる、茶の間にいながら番組に参加できるといったことをうたい文句に国をあげて進められている放送のデジタル化。もうすでに関東、中京、近畿などでは地上波デジタルの放送が始まっている。2年後にはその他の地域でも放送が開始され、2011年には現在のアナログ放送が姿を消し、完全にデジタル化される。視聴家庭までケーブルを敷設して番組を提供する各地のケーブルテレビ局も、NHKや民放と同じように設備のデジタル化を迫られているのである。
国は景気浮揚策としてデジタル化を推し進めている。国内には1億台以上のテレビがあり、これがデジタルに置き換えられるとなると膨大な消費支出となり、また各放送局が設備切り替えのために投下する資金も巨額だ。
もうすでに衛星を利用してデジタル放送が始まっているが、見たい番組が少ない。内容がイマイチという感じで、再放送番組も実に多い。ある放送関係者が「デジタル化によって画面はきれいになったが、肝心の番組がつまらなくなった。それはデジタル化に巨額な設備投資が必要なため制作費が削られているのが理由。時間も制作費もかかる良質な番組は作れなくなっている」と話している。話題性で脚光を浴びているが、実情は問題を抱えているのである。
また、テレビがデジタル放送の主役の座にとどまれるかどうかも怪しくなっている。インターネット経由でパソコンを端末として番組を楽しむ方法もある。ネットでは、個人でも小さな制作会社でも番組発信が可能だ。しかも、サーバーなどに置いておくことで、録画という作業なしに、視聴したいときに視聴することができる。見たいときに見るのが常態となれば、今のように番組にCMをセットするというやり方は受け入れられなくなるともいえる。
デジタル化の影響は何もテレビ界だけのことではない。私が属する活字メディアの世界にも大きな影響を及ぼしている。かつては最大の情報源といわれた新聞は、テレビやネットに脅かされ、発行部数は減少の一途をたどっている。ある大手新聞社の役員は「日本の新聞読者の平均年齢は60歳」と、危機感を募らせている。確かに今の若い世代は新聞を読まない。かわりにネットやテレビ、携帯で情報を得ている。このような現象は広告業界にも異変をもたらしている。電通の調べによると昨年のネットの広告売り上げは1814億円で前年の1・5倍に達しラジオの広告売り上げ(1795億円)を追い越した。
また、流通業界において大きな変革をもたらしている楽天、ヤフー、ライブドアなどネット企業の飛躍ぶりは驚異的だ。百貨店はもちろんのこと最近はスーパー業界も低迷が目立つ。まさしくデジタル社会は変化の時代である。
今まで7年8年かかっていた変化が1年足らずで起きてしまうことから犬の年齢にたとえて「ドッグイヤー」と呼ばれるが、そうした時代の企業経営はたいへんだ。旭川は今はまだ旧来型産業が主であるが、デジタル化された産業が急進することは間違いない。最も大事なことは、時代を読む力と即座に方向を定めるスピードである。