北海道経済 今月の視点【2006年01月号】あなたのマンションは大丈夫ですか

今月視点

【2006年01月号】 西田 勲

あなたのマンションは大丈夫ですか

アスベスト問題が一段落したと思ったら今度は耐震強度の偽装問題である。表面化してから1ヵ月が過ぎたが耐震性不足が判明するマンションやホテルが後を絶たず、被害の全貌は依然見えていない。問題は首都圏から地方へ波及しつつあり、道内でも自分の購入したマンションが耐震偽装されていないかと心配する声は日毎に増している。

実は当社の事務所もマンションの一階にある。恥をさらすようだが建設した会社、設計事務所、そして販売会社のいずれもが破綻しており、私も少なからず不安に感じている。幸い設計図は保管してあったので、早急に専門家に目を通してもらおうと思っている。

自分の住むマンションの耐震性が気になる場合、まずは設計図や建築確認申請書類が管理組合に保管されているかどうかを調べることである。あれば第三者の建築士などに図面をチェックしてもらえば、偽装されたかどうかはほぼ分かるそうだ。図面だけの点検では不安だという人は、赤外線カメラや超音波センサーを使って壁のひび割れや鉄筋の太さと本数を調べる方法もある。当然のことながらこれにはかなりの費用を覚悟しなければならない。

いずれにしてもこの一連の耐震偽装問題には驚き、あきれるばかりである。「コスト削減と儲け第一主義」がはびこり、そのために多くの人命と財産が危険にさらされても構わないという手法だ。

今、世論の大勢は「早急にマンション住民を救済すべきだ。偽装を見逃した責任がある国や自治体は速やかに万全の対策をとるべきである」というものだ。こうした国民の声を反映してか、政府は公的資金を使ってマンションを取り壊し新たに建て直し入居者に再分譲する支援策を発表した。

しかしこのような政府のやり方に疑問や異論を唱えるジャーナリストも少なくない。大地震など過去の自然災害に対する支援に比べて例外的に手厚い内容だからだ。

政府はこれまで「個人の資産については公的支援はできない」との姿勢を基本としてきた。未曾有の被害規模となった阪神・淡路の大震災でさえ、支援策は住宅の解体費用の一部補助や住み替えのための低利融資などにとどめた。一生に一度の買い物が致命的な欠陥商品であることが分かり途方に暮れる被害者の絶望的な姿が連日報道され、国や自治体の責任を問う声も強い。しかしだからといって丸ごと税金で面倒をみるというのは安易すぎないか。これまでの政府の方針と比べてみて、国民は不公平感を抱くと思う。

元毎日新聞編集委員の田中良太氏は担当するあさひかわ新聞のコラムに「一生に一度の買い物なのだから、自分で十分な検討をして納得できるもの以外買わないという慎重さが失われているのが日本社会の現状ではなかろうか。広くて安いことだけに目を奪われて衝動買いした場合、かなりのリスクを負うことも知るべきである。今回の偽装事件は建築主、施工会社、設計会社のいいかげんな癒着ぶりが露呈されたし検査機関はよく調べもしないで判を押していることが分かった。被害者の悲惨さが報道されて初めて、賢い消費者が育つのではなかろうか」と書いている。偽装問題に関与した業者がどう責任をとっていくのか、また政府はどのように支援していくのかを見守っていきたい。