北海道経済 今月の視点【2006年02月号】いつまで続くゼロ金利

今月視点

【2006年02月号】 西田 勲

いつまで続くゼロ金利

年末のテレビ番組でマンションの耐震強度偽装事件にふれ、あるコメンテイターが銀行に苦言を呈していた。「マンション住民は住まいを失いローンが残る絶望的な状況に追い込まれている。銀行はバブルが崩壊して経営危機に陥ったとき政府から数兆円の公的資金を受けて助けてもらい、今はどこも巨額な利益を出している。目の前で国民が苦しんでいるのだから、せめてローン金利をゼロにするといった支援の手を差し延べてもいいのではないか」といった内容の発言だった。

確かに、かつて膨大な不良債権を抱え深刻だった各行の経営状態はここ数年でV字回復。トップの三菱UFJフィナンシャルグループ(FG)は昨年9月期中間決算で7117億円の最終利益を計上しトヨタを抜いて日本一となった。三井住友FGは約4000億円、みずほFGは約3400億円と、いずれも過去最高益となっている。こうした傾向は大手ばかりでなく地方銀行も同じで、地元の旭川信金なども安定的な利益計上となっている。

銀行がこれほど儲かるのは、一つにはバブル崩壊後に取り組んだリストラと合理化の効果であるが、またそれ以上に銀行を潤している理由は世界に例のないゼロ金利だ。

ゼロ金利政策がスタートしたのは1999年。それだけでは不十分と2001年からは銀行が必要とする以上の資金を潤沢に供給する量的緩和も行われている。預金金利は限りなくゼロに近づき、100万円預けても1年後に受取る利息はわずか300円という状態が続いている。5〜6%だった一昔前なら、ある程度まとまった額を預けると、利息分でショッピングや旅行を楽しめたものである。それほど利息が安いのに、貸し付けの金利は高めに設定されたままだ。つまり、低い原価で仕入れて、高く商品を売っているのである。しかも近年、銀行はありとあらゆるサービスで手数料を徴収するようになった。この収入もバカにならない。

われわれ預金者が利息を受け取れないという犠牲の上に国と日銀のデフレ克服政策・ゼロ金利政策が成り立ち、銀行は潤っているのである。

ある試算によると、2001年の量的緩和開始から昨年までの間に預金者が逸失した利息の合計、つまりもらうべきはずでもらえなかった利息が20兆円に達するという。

最近はようやく「ゼロ金利はやめるべきだ」との声も大きくなってきている。私も、もうそろそろ適正な利息がもらえる正常な状態に戻すべきだと思う。どの銀行も足並みを揃えて低金利なのも首を傾げたくなる。それぞれの営業方針である程度高い金利を打ち出すところがあってもいいはずなのに、護送船団方式の体質は変わっていないようにみえる。

しかし政府と日銀は慎重な姿勢だ。小泉首相は「当面ゼロ金利でよい」と断言している。「まだデフレ傾向が続いており、この時期の政策変更は景気失速を招きかねない」との理由だ。先に開かれたG7でも現行の金利政策継続を発表した。

長引く低金利にしびれを切らして個人マネーは株式や外国債券、投資信託などに流れている。欧米と比べて安全志向が強かった日本人も、高い利回りを求めて投資に目を向け始めたのである。

自身の資産をリスク管理する意識が育つことはよいことだろうが、しかしそうした投資をしたくてもできない、少ない蓄えが実質的に目減りし将来に不安を募らす庶民も多いのである。少なくとも欧米並みの2〜4%の利息がつく金融政策を望みたい。高齢化社会ではなおさらのことである。

自身の資産をリスク管理する意識が育つことはよいことだろうが、しかしそうした投資をしたくてもできない、少ない蓄えが実質的に目減りし将来に不安を募らす庶民も多いのである。少なくとも欧米並みの2〜4%の利息がつく金融政策を望みたい。高齢化社会ではなおさらのことである。