旭川から発信する情報コンテナ月刊北海道経済
月刊北海道経済は創刊以来40年。旭川市を中心とする道北地域の政治・経済・文化の話題を発信している雑誌です。
市民に親しまれている「5・7小路ふらり〜と」が10月7日、京都にある姉(あねや)小路と全国で初めての小路同士の姉妹提携調印を行った。
ふらり〜とのある5条7丁目界隈は、大正時代の初め、上川中央卸売市場として道北地区の食料流通の中心地であったところ。昭和に入ってシネマ街、歓楽街として栄え、5条本通りと4・5仲通を結ぶ小路は時代の流れに合わせて人々を迎え入れ賑わった。私も若い頃は好きな映画を観た帰りに蜂屋のラーメンを食べるのが楽しみの一つだった。昨年封切られた邦画『三丁目の夕日』は昭和の風俗や人情を描いて大ヒットしたが、ふらり〜ともまた昭和の面影と哀愁を残す貴重な小路である。
小路同士の姉妹提携は、昨年2月にふらり〜とで焼鳥店を経営する旭川市議の久保厚子さんが個人行政視察で京都を訪れたのがきっかけで実現したのだそうである。
姉小路は京都市のほぼ中心に位置し、様々な業種の老舗や小さな商店、町屋、個人住宅が並ぶ落ち着いた通りである。10年前にマンション建設計画が持ち上がった時、住民が反対運動に立ち上がり、これを契機に「姉小路界隈を考える会」ができたのだそうだ。久保さんは考える会のメンバーの話を聞いて「日本の自治の原点はここにある」と感動したという。町のことは町衆(住民)が決めるとした「町式目」をつくったこと、お上(行政)に頼らない自主性、古いものを大切にしそれを活かしていく心構えなどである。規模はずいぶん違うが「お互いに手を結ぶことでまち起こしができるのではないか」と考えた久保さんが働きかけて全国初の小路同士の提携はとんとん拍子に進み7日の調印式となった。
調印式では「式目立ての札」の序幕や「行灯」の点灯が行われた。5条本通側に設置された式目は、京都姉小路に立てられているものと同様に、江戸時代の御触書のスタイルで、小路の人達の意気込みや市民との約束事など六カ条が掲げられている。その中に、商売の原点といえるものもいくつか書かれている。「ふらり〜とは街の繁華街の発祥の地で昭和30年代のたたずまいを残す。ここが元気なことが旭川市の元気につながるという自負を持ち、他の商店街と協力し常に賑わいを提供していきたい」「この小路で商いをする者は小路の繁栄はお店の繁栄であると考え店同士が協力し合うこと」「ふらり〜との宝はお客様からの信用でありそのために頑張ること。合わせて人情味とおもてなしの心を忘れずに店づくりに努めること」「小路を通る人はみんな仲間と思い大切にすること」―などである。
大型スーパーやコンビニの出店、さらにインターネットの普及で商売のスタイルは大きく変わった。効率化が優先され価格競争はさらに激化している。個人商店は街中から姿を消した。しかし近づく高齢化社会では人と人が支え合っていかなければならない。近所づきあいもそうだが、生活に欠かせない商店とのつながりも大事で高齢者の大きな支えとなる。
わずか50メートル、18店の小さな小路のチャレンジが、人情味ある商店、商店街の復活につながっていけば良いと願っている。