北海道経済 今月の視点【2007年01月号】権力は腐敗する

今月視点

【2007年01月号】 西田 勲

権力は腐敗する

知事が次々と辞職に追いこまれ、全国的に注目されている「官製談合」はついにおとなりの深川市にも飛び火した。深川市の小学校改築をめぐって特定の業者が受注出来るように「天の声」を発したとされる河野順吉市長が逮捕された。一連の官製談合は、予算配分も人事権も握る首長の権限の大きさ、また公共工事が激減して過当競争に喘ぐ建設業者の首長周辺に対する働きかけが露骨になっていることを物語っている。

不祥事が相次いだことで、首長の多選を何らかの形で制限しようとする動きも出ている。とくに自民、民主両党は4期以上の知事や政令指定都市の市長の選挙応援はしない方針のようである。「権力は腐敗する」とは古今東西の歴史が証明しているが、長く権力の座にあればなおさらのことで、今回の官製談合の最初の舞台となった福島県の佐藤栄佐久知事は5期目で、本人だけでなく実弟も大きな権力を持っていた。

テレビなどで論客として活躍する増田寛也岩手県知事は就任時から「任期は3期12年」と公言している。旧建設省から茨城県の課長として出向していたとき、当時の竹内藤男知事が4選を果たすと回りの空気が一変し、自由に意見を言える雰囲気でなくなった体験から、首長は最大3期で辞めるべきだとの思いを強くしたそうである。ちなみに竹内知事は5期の任期途中18年目にゼネコン汚職で逮捕されている。

実は、多選を巡る議論は古くて新しいテーマである。半世紀以上前、1954年に、知事の3選を制限する公職選挙法改正案が議員立法で国会に提出されている。その後2回、計3回も国会に提出されているが、いずれも審議もあまりされずに廃案となっている。憲法で保障された参政権や職業選択の自由が損なわれるとの反発が意外に大きいからである。

外国はどうなっているかというと、アメリカのほとんどの州は1期(4年)あるいは2期(8年)までで、多選を認めない。イタリアには州知事というのはないが、首長は最長2期(10年)で、その後は立候補できない。おとなりの韓国は最長3期(12年)までである。一方で、フランスやイギリス、ドイツ、スウェーデンなどでは日本と同じように首長の任期を制限していない。

さて、今、北海道で一番深刻な問題は夕張市の財政破綻であるが、この夕張市には当時名物市長といわれた中田鉄治氏の存在があり、その任期は実に6期24年の長期にわたった。増田岩手県知事が感じたように長期行政のもとでは自由に意見をいえない空気に支配され、過大な観光投資だとの批判などが表に出ることはなかったのだろう。まさに、長く政権にあったために腐敗し夕張を滅ぼすことになったのである。途中で?政権交代?があったならば、夕張市の運命はこれほど悲惨なものにはなっていなかったかも知れない。

菅原功一前市長が3期で身を引いたのは賢明な選択だったと思う。先日、西川将人市長とお話をした折「市長は3期までとし、国政を目指しては」と進言した。もちろん、西川市長はコメントを避けたが、私は最初の1期は助走期間、2期目で大きな仕事をし、3期目で仕上げ、次の市長にバトンタッチするのが最良だと思っている。