北海道経済 今月の視点【2007年05月号】市議会のレベルは市民のレベル

今月視点

【2007年05月号】 西田 勲

市議会のレベルは市民のレベル

この本が書店に並ぶ頃、旭川市議選が始まる。今回は36人の定数のところ44人が立起の予定で前回より激戦の様相となっている。

私の手元にはマニフェストとも呼べるような、立起予定者が主張や目標などをつづったリーフレットが届いている。市議選といえば長い間、知名度や人柄、親や親族などの人脈が戦いを左右したものだったが、地方の選挙でも政策を競い、有権者の判断基準にしてもらおうという傾向に変わってきていることをうかがわせるもので、大変結構なことだと思う。

さて、そのマニフェストの中に、夕張市と旭川市の財政状況を比較して「旭川を第二の夕張にするな」との訴えがあった。

ご承知のように夕張市は4月から財政再建団体に指定され国の管理下で18年かけて再建を目指すこととなった。市民会館や図書館などの公共施設が閉鎖され、市立病院は大幅に機能を縮小し民間経営となり、一方で公共料金などは値上がりした。そうした市民生活の窮状はテレビや新聞で連日のように報道されているが、先日北海道新聞に興味深いアンケート結果が掲載されていた。「夕張市が財政再建団体になった責任はだれにあるか」と市民に質問し、その回答を集計したものである。

アンケートの結果、約半分の人が「中田鉄治前市長」と答えている。次に多かったのが「国や道」で、その後が「夕張市議会」。そして「夕張市民自身」と続いている。

一番の責任者にあげられた中田氏は夕張メロンの名を全国区にした人である。国のエネルギー政策の転換で人口が10分の1に激減する状況下で観光でのまちおこしを唱え石炭博物館やメロン城をつくり夕張映画祭をスタートさせた。アイデアと実行力あふれる人で当時は名市長、名物市長として賞賛された。結果的に身の丈を超えた過剰な投資を続けていたわけだが、6期24年という長期政権下で異議をはさむ人はいなかった。また市議会もまったくチェック機能を果たしていなかったのである。国や道も同じで、ヤミ起債は長年にわたって続けられていた。金融機関もまたしかりで、ろくに審査もしないで地方自治体から取りはぐれることはないと見て融資を続けていた。貸し手責任も問われるのである。

最後の「夕張市民自身」という答えは良識ある意見だと思う。中田市長を選び続けたのは市民自身であり、チェック機能をまったく果たさなかった市議会の議員を選出したのもまた市民なのである。夕張市の選挙の投票率は決して高くない。ほぼ半分の市民は棄権している。「そのまちの議会のレベルは市民のレベル」と言われるが、政治に対する関心がもっと高かったならば、夕張市の今の姿はまた違ったものになっていただろうと思う。

市民の政治意識の高さがまちを良くするのである。旭川市議選の投票は4月22日。旭川を第二の夕張にしないためにも、各候補の主張をよく聞き清き一票を投じてもらいたい。