旭川から発信する情報コンテナ月刊北海道経済
月刊北海道経済は創刊以来40年。旭川市を中心とする道北地域の政治・経済・文化の話題を発信している雑誌です。
9月末、札幌市議会で費用弁償を廃止する条例改正案が可決された。前月には札幌市民から06年度から今年度5月までに支払われた費用弁償3870万円の返還を求める住民訴訟を起こされるなど、市民の厳しい声のなか、議会もようやく重い腰を上げたかたちだ。
全国の自治体議会には、民間の給料にあたる議員報酬、ボーナスにあたる期末手当のほか、費用弁償と政務調査費がある。費用弁償は「日当」に当たるとされ、第2の報酬と批判されてきた。政務調査費は政治活動をする際に必要な経費を別途請求できるもので、資料入手から視察旅費に至るまでさまざまな名目で支給されている。旭川の場合、議員報酬は月51万5000円、期末手当は年244万円余り。費用弁償は1日5000円が支給されていたが、今年度から廃止された。政務調査費は上限が月額8万円で、会派ごとに支給されている。
参議院選挙での自民党の敗因のひとつに「政治とカネ」の問題があげられているが、地方でもこの問題に有権者が向ける視線は厳しい。函館市では「市民オンブズマン」が不適正な用途に支出されていた政務調査費124万円の返還を求めて住民訴訟を起こし、05年の一審、07年の二審ともに市民オンブズマン側の主張が認められている。
そもそも政務調査費は、地方自治法に基づき、「議員の調査研究に資するため必要な経費の一部」として01年度から支給されている。ところが、調査研究とはほど遠いところで使われている実態が全国各地で明らかになった。豪華な会食、家族連れの温泉旅行、スナックやキャバレーの飲食代といった具合である。名古屋市議会では、自民党の市議団が余った政務調査費を山分けした疑惑が浮上し、名古屋地裁に返還を命じられた。一部の議会の中では、到底市民が理解できないとんでもないことがまかり通っているのである。
旭川市の場合06年度に支給された政務調査費はおよそ3400万円で、執行率は98・1%であり、ほぼ使い切っている。会派別でみると、公正クラブ、民主クラブなどの大会派はまるで数字合わせのように剰余金がなく、交付額と決算額がほぼ同額なのである。議員ごとの支給額はバラつきが大きく、最高は115万円、最低ではゼロ円だった。
具体的な用途に注目すると「こんなのもOKなの?」と疑問に感じるものもある。たとえば代行車の利用。会合や陳情を受けたさいに飲食することもあり、そういうときはタクシーよりも割安な代行車で帰宅しているとその市議は説明しているが、料金が政務調査費から出ているとすれば首をかしげたくなる。新聞購読料、携帯電話代、インターネット使用料なども、一般市民なら自腹で負担しているものだ。
旭川市は厳しい財政難に陥っており、各種の予算が削減されている。とくに永続的な発展のために必要な投資的な経費が減っていることは気がかりだ。政務調査費について、市議会は率先して模範を示すべきだ。その一環として私から提言したい。
まず、1人あたり月8万円という現在の政務調査費の上限が適切なものなのか再検討を行ったうえで、現在は会派ごととなっている交付先を個々の議員に変更すべきではないだろうか。さらに、政務調査費がどのように使われたのかだけでなく、視察が市議会での審議や市政にどう反映されたかなど、議員に説明責任を負わせるルールが必要だ。現在、議会事務局に申請すれば政務調査費にからむ領収書は閲覧できるが、もっとオープンに公開してはどうだろうか。また、使途基準を市民の視点に立って見直すことも必要だろう。
本誌も9月号の特集記事で旭川市議会の政務調査費について詳しく報道し、大きな反響を得た。最近では市民の杉尾正明さんが政務調査費について監査請求を行い、現在外部監査が行われている。旭川市議自身も非公開ながら政務調査費検討会議を立ち上げている。一連の動きが市議会の改革につながることを願っている。