旭川から発信する情報コンテナ月刊北海道経済
月刊北海道経済は創刊以来40年。旭川市を中心とする道北地域の政治・経済・文化の話題を発信している雑誌です。
駅南を含めた旭川駅周辺の整備が着々と進んでいる。長年の市民の念願がかない、ようやく駅南と市街地が結ばれようとしている。50年ほど前の話になるが、旭川市議会議員だった私の祖父が、議員仲間と酒を酌み交わしながら駅南開発について熱弁をふるっていたのを懐かしく思い出す。
「北彩都あさひかわ」と呼ばれるこの計画は、総事業費1100億円を投じるビッグプロジェクトだ。国からの交付金の削減で事業の進度は当初の計画よりも遅れているが、厳しい状況のなかでは順調に進んでいると言っていいだろう。
さてこの事業では、鉄道を高架化し、旭川駅の駅舎を近代化し、忠別川に2本の橋をかけることで、これまで分断されていた市中心部と神楽地区を結びつけるほか、JRの旧旭川車両センター跡地なども再開発する。2010年には新しい旭川駅が完成するが、このまちの新しい顔がどんなかたちでお目見えするのか、いまから楽しみである。
旭川駅の南側、つまり忠別川岸には、これまで人があまり足を踏み入れることができなかったために豊かな緑が残っている。このあたりには階段状の堤防や大きな池(霞)などが整備され、エコロジカルな空間が広がる予定だ。
駅前の風景というのは、全国どこに行っても似たり寄ったりだ。広場があり、駐車場があり、その先にはデパートや商店街が続き、大都市になるとこれに大型ビルが加わる。旭川の新駅が完成したならば、こんなありきたりな駅前の風景にはしてもらいたくない。人口30万を超える都市で、駅のすぐ裏側で大規模な緑が残っている例は珍しいと言われる。それだけ新駅は、全国に魅力を発信できる可能性を秘めている。
1972年、平和通買物公園がオープンしたさい、当時の旭川市長だった五十嵐広三さんと、将来のまちづくりのビジョンについて語り合ったことがある。「せっかく買物公園ができたのだから、旭川駅を建て替えるときには、買物公園と一体感を出すため、公園のなかに駅があるかのように、自然の空間を多くしたらいい」というのが五十嵐さんの考えだった。それから35年が経過したいま、自然と駅の関わりが注目を集めている。五十嵐さんの先見性には驚かされる。
とはいっても、駅は旭川の交通の核になる施設であり、当然、市民や旅行者にとって利便性が高いものでなければならない。すでに明らかにされているプランによれば、現在8400平方メートルの駅前広場は2万2000平方メートルまで広げられ、路線バス用、観光バス用、タクシーの乗り降り場と待機スペースが設けられる。宮下通、1条通などにバス停留所が点在している現状は、利用者にとり便利とは言えず、JRで旭川に着いた観光客が、旭山動物園行きバスを探してあちこち歩き回っているのもよく見かける。新しい駅前でバスが利用しやすくなるのだとしたら喜ばしい。また、駅周辺では乱雑に置かれた自転車が目立つので、大型の駐輪場も必要だろう。
07年11月末、平和通商店街振興組合から旭川市に対し、JR新駅舎と買物公園の一体感を高めるよう求める提案書が提出された。具体的には▽駅舎と買物公園をつなぐ道路に風雪をしのぐ屋根を設ける、▽待ち合わせに使えるアトリウムを買物公園寄りに建設する、などのアイディアが盛り込まれた。私が考えるに、これまでの駅前、つまり買物公園とのつながりも大切だが、新しい駅裏、つまり宮前地区や神楽地区との一体感を高めることも大切だ。これらの地区には大雪アリーナ、優れた音響特性をもつ大雪クリスタルホール音楽堂、三浦綾子記念文学館、自然豊かな神楽岡公園、そして人気施設のサイパルなど、旭川市民が誇れるスポットがたくさんある。夏ならサイクリング、冬なら歩くスキーなど、駅のすぐ近くでスポーツが楽しめる施設を新たに河川敷に設けてもいい。
夕張に象徴されるように、北海道には将来に不安を抱えた自治体が少なくない。旭山動物園だけでなく、「北彩都あさひかわ」という希望を持っている旭川市民は幸せだ。