旭川から発信する情報コンテナ月刊北海道経済
月刊北海道経済は創刊以来40年。旭川市を中心とする道北地域の政治・経済・文化の話題を発信している雑誌です。
灯油やガソリンの高騰が一般家庭の家計を直撃している。暮らしへの影響は想像以上に大きく、家で使う灯油の量を少しでも減らすべく、ストーブの設定温度を低くしたり、暖かいスーパーやデパートの中で長い時間を過ごす人が増えているという。驚くことに、屋外のタンクから灯油を盗む犯罪も多発している。旭川のような寒冷地で生活している人にとり、原油高は単なる経済問題ではなく、毎日の生活に関わる深刻な問題である。
企業も苦しんでいる。昨年は道北地方の建設業者の倒産が前年比47%増加したが、その大きな要因のひとつに原油高が挙げられている。塗料、接着剤をはじめとする石油化学製品や重機の燃料が値上がりしたことに加え、冬場の工事現場でコンクリートに含まれる水を凍結させないための暖房費なども増え経営コストが膨らみ、3月の決算期に向けて行き詰まる業者もあるのではないかとの見方が出ている。
今回の原油高騰の背景には、中国やインドなど新興国における石油需要の急増という需給バランスの変化だけでなく、巨額のヘッジファンド資金の先物市場への流入という投機的要素も強い。多くの専門家は、原油高騰はしばらく続くとみており、年明け早々には海外の先物市場で原油1バレルの相場が100ドル以上と、歴史的な水準に達した。
政府は昨年12月25日、地方自治体が低所得者層の灯油購入を支援する福祉灯油制度を実施する場合、費用の半分を国が負担する、高速道路の深夜割引率を現行の3割から4割に拡大するなどの緊急対策を発表した。予算規模は800億円程度に達するというが、各省庁が小出しにした措置の寄せ集めという印象をぬぐえない。道内では旭川を含む多くの自治体が、福祉灯油の支給を決めている。原油高が深刻化して数カ月経過してからの実施は遅すぎる感もあり、早急な実施が必要だろう。
政府にはさらに踏み込んだ対策を望みたい。具体的には1.現在政府が抱えている大量の石油備蓄を市場に放出する、2.高速道路料金の引き下げ、3.道路特定財源とするため、30年以上にわたって続けられてきたガソリン税の「暫定税率」(1リットルあたり約25円)を、今年3月31日の期限切れと同時に撤廃する、4.天然ガスや風力発電など多角的なエネルギーの活用に力を入れる、などの施策を推進するべきではないだろうか。消費者である国民も、石油に頼りきった生活を見直すべきである。使い捨てのレジ袋ではなく、丈夫な買い物袋を繰り返し使うといった地道な行動が、地球環境の保全を考える上でも肝要である。
原油高への対応策についての議論のなかで焦点となっているのが、ガソリン税の暫定税率撤廃だ。自民公明の連立与党は期限延長、民主党は撤廃と主張が分かれている。燃料費高騰の影響が大きい北海道では、多くの市町村議会が石油製品の値下げとガソリン税・軽油引取税の税率引き下げを求める意見書を可決したが、来年度に向けた予算編成で高規格道路などの予算獲得に支障をきたすことを心配して、税率引き下げ要求を取り下げるところが増えている。旭川市議会も昨年12月28日の臨時議会で、以前に可決した意見書の内容を修正、ガソリン税率引き下げの要求を削除したうえで改めて可決した。「税率引き下げの意見が、道路がいらないという議論になるのはおかしい」という消費者団体の反発に、私もまったく同感である。
原油高が続けば、経済や産業にこれまで以上の悪影響を及ぼすのは明白であり、政策を誤れば日本経済が悪性インフレに陥る可能性さえある。税金の用途にはまだまだ無駄が多く、政府が知恵を絞ればガソリン税の税率引き下げは可能なのではないか。
原油高で思い出すのは、中東情勢をめぐる国際対立のなかで発生した73年、79年のオイルショックだ。トイレットペーパーが店頭から姿を消したことを覚えている人も多いことだろう。しかし、2度のオイルショックをきっかけに日本の石油依存度は低下に転じた。高すぎるガソリン、灯油の価格は、地球環境を考えるいい機会でもある。